白くてフワフワした見た目とトロリとクリーミーな食感のカマンベールチーズ。
多くの日本人に愛されている人気のチーズの一つです。
チーズといえば栄養豊富で体にいい食品として知られていますが、このカマンベールも同じく様々な良い効果をもたらしてくれます。
おいしいうえに体にもいいなら、毎日食べようと思いますよね。
ということで今回は、カマンベールを毎日食べるとどんな効果が期待できるのか、健康面と美容面で解説します。
もちろん、チーズといえども良いことばかりではないでしょうから、注意する点についてもお伝えします。
カマンベールを毎日食べるときのお役に立ちますので、ぜひ最後までお読みください。
カマンベールチーズを毎日食べる効果について
カマンベールは体にいいということですが、毎日食べるとどうなるのでしょうか?
それは、健康にも美容にも良い効果が表れるだろうということです。
具体的にどのような効果が期待できるのか、それぞれを見ていきましょう。
健康に良い
カマンベールに限らず、チーズは栄養価が高く健康にいいとされています。
しかも、期待できる健康効果は一つや二つではありません。様々な効果があるようですが、その中から代表的なものを紹介します。
認知症予防
認知症予防は、チーズの中でも特にカビのチーズに大きな期待がされている効果です。
というのも、白カビチーズの一種であるカマンベールを使った実験で、実際に認知症予防につながる結果が2つも確認されたからです。2種類の結果について解説します。
ミクログリアの活性化
ミクログリアとは、脳内の免疫を担うグリア細胞の一種で、脳内の老廃物除去などの機能を持ちます。機能の一つがアルツハイマー病の原因とされるアミロイドβの抑制です。
東京大学とキリンホールディングスの共同研究によると、乳製品に含まれるペプチドの一種「βラクトペプチド」でミクログリアを処理すると、アミロイドβを分解する能力が高まることがわかりました。
ペプチドとはタンパク質を構成するアミノ酸がいくつもつながったもので、チーズの発酵工程で多く発生するものであり、「βラクトペプチド」はチーズの中でもカマンベールなどのカビのチーズに多く含まれます。
つまり「βラクトトリペプチド」を多く含むカマンベールは、ミクログリアを活性化し、ミクログリアがアルツハイマー病の原因であるアミロイドβを抑制するため、認知症予防に貢献するということです。
BDNF濃度の上昇
カマンベールには血中のBDNF濃度を高める効果があることも確認されました。
BDNFとは、記憶や学習などの認知機能と関連する物質であり「脳由来神経栄養因子」とも呼ばれます。
脳内の「海馬」と呼ばれる部位に多く見られ、別名が“脳の栄養”。血中にも存在し、加齢や認知症によって濃度が低下することが確認されています。
東京都健康長寿医療センターと桜美林大学、明治が、このBDNFと認知症との関連について共同研究を行いました。
軽度の認知障害がある人を集めカマンベールとカビ発酵をしていないチーズとを交互に摂取してもらったところ、血中BDNF濃度は、カマンベール摂取時には約6%増加したのに対し、対照チーズ摂取時には約2%減少したという結果を得ました。
これにより、カマンベールを食べていると血中のBDNF濃度が上昇するため、認知機能が低下しにくいという予想が導きだされます。
高血圧予防
高血圧症は「サイレントキラー」とも呼ばれ、食生活などが原因となって徐々に進行していく症状です。
高血圧症を進行させる原因はいくつかありますが、その一つに血管が硬くなっていくことが挙げられます。
その血管を柔らかくして、血管年齢を若返らせる効果があるのが「ラクトトリペプチド」です。
ラクトトリペプチドは、乳酸菌が出すプロテアーゼという分解酵素の働きでタンパク質が分解されて作り出される成分であり、血管を柔らかくし血管年齢を下げるだけでなく、ACEという血管を収縮させ血圧上昇の原因となる酵素の働きも抑制します。
つまりラクトトリペプチドには血圧上昇を抑える働きがあるのですが、カマンベールをはじめとするカビのチーズやウォッシュチーズなど、長期熟成するチーズにこのラクトトリペプチドが多く含まれることがわかっています。
また、高血圧症の原因にはカルシウムやカリウムなどのミネラル不足もありますが、チーズにはどちらも含まれていますので、これも高血圧予防に貢献していると思われます。
ガン細胞が増えるのを抑える
2020年、日本人の死因1~3位
死因 | 死亡数(人) | 総数に占める割合(%) |
ガン | 378,385 | 27.6 |
心疾患 | 205,596 | 15.0 |
老衰 | 132,440 | 9.6 |
出展:厚生労働省
厚生労働省が発表したデータによると、2020年の日本人の死因で一番多かったのが「ガン」でした。
私たちにとって身近であり恐ろしい病気であるガンですが、カマンベールの仲間である白カビチーズ、他にも青カビチーズやウォッシュタイプのチーズに含まれる成分により、ガン細胞の増殖が抑えられることがわかりました。
これは東海大学の井越教授の研究によるものですが、その研究ではフレッシュタイプや熟成をしないタイプのチーズではあまり効果がないこともわかっています。
この効果をもたらす成分は、チーズの熟成により増えていくパルミチン酸やオレイン酸。
つまり、熟成が長いチーズほどガン細胞を抑制する効果が強くなるということです。
他にも、チーズに含まれる乳酸菌が腸内環境を良くし、ガン細胞が発生しにくくなるという研究結果もあります。
血糖値抑制
血液中のブドウ糖濃度が高まると血流が悪くなり、心筋梗塞や糖尿病を引き起こします。
この血糖値を上げないようにするには、食事によるブドウ糖の吸収を抑えなければなりません。
食品中の糖質の吸収度合いを示す指標をGIといいますが、血糖値の上昇を抑えるにはGIの低い食品を摂ることが推奨されています。
GI値が55以下であれば低GIとされますが、チーズのGIは30~33とかなり低くなっています。
つまり、高GI食品を食べる代わりに低GI食品であるカマンベールなどを食べることは、血糖値を抑制し糖尿病などにかかるリスクを減らせるといえるでしょう。
骨粗しょう症予防
骨粗しょう症とは、体内のカルシウムが不足する状況が続くことで代わりに骨内に存在するカルシウムが利用され、結果的に骨がもろくなる症状です。
症状が進むことで、背中や腰の痛み、姿勢の悪化などの自覚症状が出始め、転倒などのちょっとしたことで骨折といった問題へとつながります。
それを抑えるためには、普段からカルシウムを十分な量摂取する必要があるのですが、そのカルシウム源として良いのがカマンベールをはじめとするチーズ類です。
カマンベール50gには約230mgのカルシウムが含まれます。日本人に必要なカルシウムの1日の最低摂取量が600mgとされていますので、1/3以上を摂ることができます。
他にも、チーズに含まれるカゼインホスペプチドというタンパク質がカルシウムの吸収を助けるので、カルシウム摂取を効率よく行えます。
フレイル・サルコペニア予防
高齢者の健康問題として、「フレイル」や「サルコペニア」という言葉をよく耳にするようになったのではないでしょうか。
「フレイル」とは、加齢が原因で起こる認知機能や身体機能の低下のことです。
「サルコペニア」もまた、年齢により筋肉量が減少し筋力が落ちて、体力が低下している状態を表します。
これらは、高齢者の歩行が困難になったり、転倒して骨折し寝たきりになったりと様々なリスクの元となっています。
原因として考えられるのが、栄養の不足です。そして、その予防に効果的とされているのが、カルシウムやタンパク質を豊富に含む、カマンベールなどのチーズです。
事実、70歳以上の高齢者810人がチーズの原料である牛乳を毎日1杯飲み続けたところ、フレイル・サルコペニアのどちらにも有効であることが実証されました。
美容に良い
カマンベールを代表とするチーズに様々な健康効果があることはご理解いただけたでしょうか。
しかし、チーズが持つ効果はこれだけではありません。女性にうれしい美容への効能も期待できます。以下、代表的なものをお伝えします。
美肌・美髪効果
肌や髪はいつまでも美しく保ちたいものです。この美肌や美髪に効果がある成分を多く含んでいるのがチーズです。
その成分はいろいろありますが、特にお伝えしたいものとして、タンパク質とビタミンB2を挙げておきます。
タンパク質は私たちの細胞を構成する要素です。つまり、タンパク質が不足すると肌や髪の新たな細胞が作られないため、新陳代謝が行われず、ボロボロになってしまいます。
ですから健康な肌や髪を保ち続けるには、その材料となるタンパク質を摂取し続けなければなりません。
またビタミンB2は、その新陳代謝を促進する働きがあるとされています。
いくら材料があっても新しい肌や髪を作る作業が順調に行われなければ、やはり美しさを保つことはできません。
ですから、ビタミンB2を十分に摂って、肌や髪が活発に生まれ変わるようにしましょう。
ダイエット補助
カマンベールを含め、チーズというと高脂肪・高カロリーでダイエットには不向きと思っている人が多いようです。
しかし、チーズは上手に食べればダイエットの味方となってくれます。
まずは気になる脂質ですが、チーズに含まれる脂質は主に短鎖脂肪酸と中鎖脂肪酸と言われるものです。
これらは他の脂肪酸と比較すると、体内で燃焼されやすく代謝が速やかに行われるので、体脂肪として溜まりにくい性質を持っています。
ですから「チーズは高脂肪だからダイエット中には食べられない」というのは正しいとは言えません。
またカロリーに関しても、視点を変えていただく必要がありそうです。
というのもチーズは腹持ちが良いため、少量食べると食欲を抑える効果につながります。
ですから、間食をするのであれば、甘いものの代わりにチーズを食べると逆に摂取カロリーを減らせます。
体に有益な栄養も摂ることができますので、カロリーだけを見て敬遠するのは避けていただくとよいでしょう。
加えて、チーズに豊富に含まれるタンパク質は筋肉量を維持するために必要です。
私たちの筋肉は多くのカロリーを消費するため、ダイエット時にはいかに筋肉を落とさないかも重要となります。
摂取カロリーを減らすことだけを考えるのではなく、消費カロリーを増やすために筋肉量を保つ、そのためにタンパク質を豊富に含むカマンベールを食べる。
これも立派なダイエットの一つです。
アンチエイジング
いつまでも若々しくいたいというのは、人類共通の願望でしょう。
カマンベールを含むチーズは、その願いをかなえる手助けをしてくれます。
私たちの老化を促進する原因の一つには活性酸素の働きがあります。
活性酸素は、私たちの体内に侵入した細菌などに抵抗するために使われるのですが、一方で増えすぎると健康な細胞を攻撃することもあります。これが、活性酸素による老化の正体です。
しかし、この活性酸素の働きを抑制してくれる成分があります。その一つがパルミチン酸です。
またパルミチン酸は、皮膚や粘膜の健康維持に役立ち、若さを保つために必要なビタミンAの働きを促進する作用もあります。
パルミチン酸は、タンパク質が分解されることで生成されます。
つまり、発酵・熟成の過程でタンパク質が分解されるカマンベールは、抗酸化作用のあるパルミチン酸を多く含み、アンチエイジングに効果があるということです。
カマンベールチーズを毎日食べるときの注意点
健康や美容に与える効果がこれほどまでに大きいカマンベールですから、毎日たくさん食べようと思われたのではないでしょうか。
ただし、食べ過ぎには気をつけてください。
摂り過ぎに注意しなければならないものがいくつかあるからです。
また、栄養豊富なチーズといえども完全栄養食ではないので、他の食品で補わなければならない成分もあります。
それらについて解説します。
摂り過ぎに注意するもの
どんな食べ物でもそうなのですが、チーズも食べ過ぎると健康などを害することがあります。その原因となるのが以下のものです。
塩分
日本人が摂り過ぎだと頻繁に指摘されるものとして塩分があります。
厚生労働省が推奨する塩分の摂取量は、1日につき男性で8g未満、女性で7g未満です。
これらは、1日に食べる食品すべてから摂取する量についてなので、間食でカマンベールを食べるのであれば、そこでの塩分摂取は1g未満に抑えたいところです。
では、塩分を1g未満に抑えるつもりなら、どれだけ食べられるのでしょうか。
カマンベールは100gあたり約2gの塩分を含みますので、塩分1g未満にするなら食べるのは50g未満にしておきましょう。
カロリー
カロリーも、現代日本人が摂り過ぎないように気を遣わなければならないものの一つでしょう。
一般的な成人が1日に必要とするのは2000~3000キロカロリーとされています。
3食をしっかり摂ったうえで間食にチーズを食べるのなら、そのカロリーは200キロカロリー程度にしておきたいのではないでしょうか。
カマンベールは100gあたり約310キロカロリー。200キロカロリーなら約65gです。
おやつ代わりに食べるのであれば、65g以内にしておくのがおすすめです。
脂質
健康的な生活をするためには、心筋梗塞や動脈硬化、高脂血症などにつながる可能性がある脂質の摂取を抑えるべきだとされますが、そのときの脂質とは主に「飽和脂肪酸」を指します。
この飽和脂肪酸の摂取基準量は、厚生労働省によると1日の摂取エネルギーの7%、つまり1日につき14g~21gです。
100g中の飽和脂肪酸量が約15gのカマンベールに換算すると、およそ100~150gです。
しかし、これも他の食品からの摂取もありますので、その日1日の食事を考慮したうえで食べる量を加減しましょう。
不足に注意するもの
栄養豊富なカマンベールなどのチーズたち、足りない栄養分なんてないのではないかと思ってしまいますが、いくつかの成分はチーズだけでは十分に摂ることができません。
それらを紹介してまいりますので、他の食品から摂るように気をつけてください。
カマンベール100gに含まれる成分
ビタミンC | 0mg |
食物繊維 | 0g |
炭水化物 | 0.9g |
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
ビタミンC
カマンベールには、ビタミンCがまったく含まれていません。ビタミンCといえば、皮膚や粘膜の健康維持に欠かせない成分です。
他にも、ストレスや病気などへの抵抗力などを強める働きがあります。
不足すると、貧血を起こしたり、顔色が悪くなったり、活性酸素が増えて老化が進んだりもします。
ビタミンC不足を起こさないためには、ビタミンCを多く含む食品も食べるよう気をつけてください。
カマンベールと一緒にフルーツを摂るなどしてしっかりと補いましょう。
食物繊維
同じく食物繊維も、カマンベールには全然含まれていません。
整腸効果だけでなく、血糖値の上昇を抑えたり血液中のコレステロールを低下させたりと様々な生理機能がある食物繊維。
最近の研究では、腸内環境が頭の働きや精神状態にまで影響を与えると指摘されています。
しかし現代の日本人の多くは、普段の食生活で十分に摂取できていないといわれます。
それがカマンベールには一切含まれていないのですから、いつも以上に摂取するよう気をつけましょう。
食物繊維を多く含む野菜などを一緒に食べて、不足しないよう心がけてください。
炭水化物
炭水化物はまったく含まれないわけではないのですが、カマンベールからはほとんど摂取できないものです。
近年では低糖質・低GIがもてはやされており、炭水化物が不要であるかのように扱われています。
しかし、炭水化物も不足が続いてしまうと、脳の活動が低くなり、判断力や注意力が低下し、疲れやすくやる気がなくなるという症状が出てきます。
カマンベールは低糖質であるがゆえにダイエットに向いているという側面があるのですが、不足しないように他の食品で炭水化物の摂取量をコントロールするよう気をつけましょう。
まとめ
日本人にとって馴染みがあり、人気も高いカマンベールチーズ。
毎日食べるとどうなるのだろうということで、健康や美容に及ぼす効果をお伝えしました。
また、カマンベールを毎日食べるなら、摂り過ぎに気をつけなければいけないもの、不足しないように他から補わなければならないものも説明しました。
どんな食品にも一長一短があり、バランスよく食べるのが大事なのですが、カマンベールは長所の点で大きなメリットがあるとおわかりいただけたかと思います。
何よりも、おいしいことが私たちにはうれしいことなので、これからも上手にお付き合いをしながらカマンベールを毎日食べていきましょう。