「チーズは好きだけど、脂質が多いイメージがあって、太るのが怖くて食べられない。」
このようにお思いではないですか?
たしかにチーズは、脂質が多い食品といえるでしょう。しかし実際は、脂質の量の割には太りにくく健康的な食品なのです。何よりも、チーズの種類は多く、脂質が多いものから少ないものまでいろいろです。
ひとくくりにせず、それぞれの脂質の量を知って、少ないものを選んで食べることが重要です。
今回は、他の栄養にも触れながら、チーズの脂質についてお伝えします。
チーズは太らないって本当?チーズに含まれる脂質の量は?
チーズといえば、コクがありしっかりした味のイメージです。そのせいで、脂質が多くて太るのではないかと心配になります。
しかし、想像よりも太りにくく栄養のバランスが良い食品です。まずは、チーズの栄養について見ていきましょう。
ダイエット中こそチーズを食べよう
チーズは、種類によって脂質の量やカロリーなどが違いますが、基本的に栄養豊富で低糖質です。
ですから、脂質が少ないものやカロリーが低いものであれば、ダイエット中であっても摂っていきたい食品といえるでしょう。
脂質が良質
チーズに含まれる乳脂肪は短鎖・中鎖脂肪酸であり、一般的な油脂類を構成する長鎖脂肪酸と比べて体内のエネルギーに変換されやすく、脂肪の蓄積を抑える効果があるとされています。
ですから、チーズの脂質は体脂肪として蓄えられにくいものといえます。
加えて、脂質は消化に時間がかかるためお腹がすきにくくなりますので、ダイエット中には都合の良い食品といえるでしょう。
栄養豊富
食事制限をしていると栄養が不足しがちになります。それを補うには、様々な栄養が含まれているチーズを食べるのがよいでしょう。チーズに含まれる栄養で、特にダイエット中に大事なものをご紹介します。
たんぱく質
たんぱく質の栄養価を示す指標で「アミノ酸スコア」があります。これは食品にどれくらい必須アミノ酸が含まれているかを表していますが、チーズはこの「アミノ酸スコア」が高く、良質のたんぱく質を含んだ食品といえます。
基礎代謝量を下げないためには、たんぱく質を摂取し筋肉量を維持しなければなりませんので、健康的に痩せることを目標とするのなら積極的に摂りたい栄養です。
カルシウム
種類にもよりますが、チーズは比較的多くのカルシウムを含む食品です。
カルシウムは、骨や歯を構成する成分であり、血液の凝固作用や筋肉の活動などにも関わっています。慢性的に不足すると骨密度が下がり、骨がスカスカになって骨折しやすくなる「骨粗しょう症」になります。
また、カルシウムには脂肪の代謝を旺盛にする働きがありますので、日常的に摂取していると太りにくい体質になるそうです。
私たちは普段どおりに食事をしていても、十分な量のカルシウムを摂取できていません。ですから、ダイエット中は特に意識して摂取することが大切です。
ビタミンB2
チーズには多くのビタミン・ミネラル類が含まれますが、その中でも重要なのがビタミンB2でしょう。ビタミンB2には脂質の代謝を促す働きがありますので、ダイエット中の人や脂質が多めの食事をする人にとっては欠かせないものです。
他にも、皮膚や髪の毛などの細胞の再生産に重要な働きをしており、栄養が偏ると不足し、健康的な見た目を失ってしまいます。美容と健康の維持のために、ダイエット中こそ摂取したい栄養素です。
低糖質(炭水化物)
チーズは、糖質の量が少ない食品です。ですから、糖質を制限している人に適しています。
完全にゼロのものはありませんが、ゼロに近いものはいくつかあります。
いずれにしても、甘いお菓子類と比べれば糖質は何十分の一というレベルですので、ダイエット中にどうしても間食をしたくなった際などはチーズを食べるとよいでしょう。
チーズがなぜ低糖質なのか詳しく知りたい方はこちらの記事をお読みください。
食べる際の注意点
栄養豊富で体に良いチーズですが、残念ながら完璧というわけではありません。やはり、食べ過ぎれば良くないですし、不足している栄養素もあります。チーズを食べる際に気をつけたい点をお伝えします。
食べ過ぎないように
1日のチーズ摂取量は20g程度が適量とされています。チーズの種類によって適量は変わりますが、一応の目安としてください。
チーズの脂質は代謝されやすいとはいえ、カロリーはそれなりにあります。摂取カロリーが消費カロリーを上回らないよう、食べ過ぎには気をつけましょう。
また、種類によっては塩分も多くなっています。塩分が過剰になればむくみやすくなったりしますので、摂り過ぎにならないよう食べる量にはご注意ください。
栄養の補助を忘れずに
チーズには圧倒的に足りていない栄養素があります。それが、ビタミンCと食物繊維です。
この両者を多く含む食品が、野菜類やフルーツ類です。チーズを食べる際には不足する栄養素を補うことを意識して、これらも摂るように心がけましょう。
寝る前に食べてもいい?
寝る前に少し何か食べたいなという時はチーズがおすすめです。消化も良く、少量で空腹感が和らぎます。
ですが、寝る前の30分~1時間前には食べ終わるようにしましょう。また、カロリーや糖質低めのチーズを選ぶようにしましょう。
チーズの種類で脂質の量はどれほど違う?
チーズには様々な種類があり、含まれる栄養素の量も異なります。
チーズの種類、それぞれの栄養バランスなどを見ていきましょう。
2種類のチーズ
チーズは作り方により大きく2種類に分かれます。それぞれの作り方を説明します。
ナチュラルチーズ
牛や山羊などの乳を殺菌し、乳酸菌や凝乳酵素などを加えてできた固形物から水分(乳清・ホエイ)を除いたものです。その後は、種類によっては熟成させます。熱処理をしないので、乳酸菌が生きたまま残っているのが特徴です。さらに種類が分かれますが、代表的なものは以下のとおりです。
・フレッシュタイプ
・シェーブル
・白カビタイプ
・青カビタイプ
・ウォッシュタイプ
・セミハードタイプ
・ハードタイプ
プロセスチーズ
1種類もしくは複数の種類のナチュラルチーズを加熱した後、冷やし固めたものです。加熱しますので、乳酸菌は死滅しますが、保存性が高まります。
スライスチーズやピザチーズなど、多くの日本人に最も馴染みがあるのがこのタイプのチーズでしょう。
チーズの種類別栄養表
チーズの主要な栄養成分を種類別に表にまとめましたのでご覧ください。ただし、同じ種類のものでも商品により栄養成分が異なることはご了承ください。
チーズの栄養(100g中)
種類 | 名称 | カロリー (kcal) | 脂質 (g) | 炭水化物 (g) | タンパク質(g) | カルシウム (mg) | ビタミンB2 (mg) | 食塩相当量 (g) |
ナチュラルチーズ | カッテージ | 99 | 4.5 | 1.9 | 13.3 | 55 | 0.15 | 1.0 |
リコッタ | 159 | 11.5 | 6.7 | 7.1 | 340 | 0.21 | 0.4 | |
モッツァレラ | 269 | 19.9 | 4.2 | 18.4 | 330 | 0.19 | 0.2 | |
シェーブル | 280 | 21.7 | 2.7 | 20.6 | 130 | 0.88 | 1.2 | |
カマンベール | 291 | 24.7 | 0.9 | 19.1 | 460 | 0.48 | 2.0 | |
エダム | 321 | 25.0 | 1.4 | 28.9 | 660 | 0.42 | 2.0 | |
マスカルポーネ | 273 | 28.2 | 4.3 | 4.4 | 150 | 0.17 | 0.1 | |
ブルー | 326 | 29.0 | 1.0 | 18.8 | 590 | 0.42 | 3.8 | |
ゴーダ | 356 | 29.0 | 1.4 | 25.8 | 680 | 0.33 | 2.0 | |
パルメザン | 445 | 30.8 | 1.9 | 44.0 | 1300 | 0.68 | 3.8 | |
クリーム | 313 | 33.0 | 2.3 | 8.2 | 70 | 0.22 | 0.7 | |
エメンタール | 398 | 33.6 | 1.6 | 27.3 | 1200 | 0.48 | 1.3 | |
チェダー | 390 | 33.8 | 1.4 | 25.7 | 740 | 0.45 | 2.0 | |
プロセスチーズ | 313 | 26.0 | 1.3 | 22.7 | 630 | 0.38 | 2.8 | |
チーズスプレッド | 284 | 25.7 | 0.6 | 15.9 | 460 | 0.35 | 2.5 |
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
各チーズの説明
上の表に出てきたチーズを簡単に説明します。脂質が少ないものから順にお伝えしてまいります。
カッテージ
最も脂質が少ないのがこのチーズ。水分が多くて柔らかいフレッシュタイプで、あっさりとしてクセがない味わいです。低脂肪乳を原料としているので、脂質が少なく、カロリーオフのチーズでもあります。
リコッタ
ナチュラルチーズを作る際に出てくるホエイ(乳清)を原料とした、特殊な作り方をしています。そのため、低脂質。もめん豆腐のような独特の食感とミルク由来の自然な甘みが特徴です。
モッツァレラ
もっちりとした弾力ある食感とさっぱりした味わいで人気のフレッシュチーズです。クセが少ないので、料理との相性が抜群。カプレーゼやピッツァ・マルゲリータでお馴染みです。
シェーブル
山羊乳から作られるチーズです。爽やかな酸味があり、山羊乳特有の青草のような香りが特徴。ただし、たまに苦手な人も見受けられます。
カマンベール
白カビタイプのチーズでは最も有名なものです。日本でもよく知られており人気のチーズ。表面は白カビに覆われてやや硬め。しかし、中は熟成により柔らかく、クリーミーで濃厚な味わいです。
エダム
オランダの代表的なハードチーズ。そのままワインのつまみとして食べたり、粉チーズとして料理に振りかけたりします。マイルドで食べやすく、やや酸味を感じるのが特徴です。
マスカルポーネ
生クリームを原料とするイタリアのクリームチーズ。白くなめらかなチーズで、かすかに甘くてコクがあります。ティラミスに使われることで有名です。
ブルー
内部に青カビを植えて、熟成させて作るチーズ。独特の香りとピリッとした味があるので好き嫌いが別れます。チーズの中でも最も塩分が多い種類なので、食べすぎないように気をつけましょう。
ゴーダ
エダムと並んで、オランダを代表するセミハードチーズ。クセが少なく、マイルドな風味が特徴で、プロセスチーズの原料として多く用いられます。世界中で愛されており、日本でも人気があります。
パルメザン
スーパーなどで粉チーズとして売られているものです。熟成の過程で水分が少なくなっているため成分が濃縮されており、脂質だけでなくカロリーや塩分も高くなっているので食べすぎに注意してください。
クリーム
日本でもよく食べられているフレッシュチーズ。フレッシュチーズは一般的に脂質が少ないのですが、これは原料に生クリームが使われているため、脂肪分が多くなっています。滑らかで濃厚な味わいで、チーズケーキなどのデザートによく使われます。
エメンタール
スイスを代表するハードチーズ。チーズフォンデュに使われ、かすかに甘く、ナッツのような風味が特徴です。アニメなどで出てくる穴の空いたチーズはこれです。
チェダー
元はイギリス原産のセミハードチーズ。ゴーダとともにプロセスチーズの原料として多く用いられます。熟成により、マイルドで爽やかな酸味を持つ味わいからコクがあり深みを持つ味わいへ変化していきます。
プロセスチーズ
作り方は先述のとおりです。栄養成分は脂質やカロリーなどいずれも平均的なものとなっています。個包装されているものが多く、食べた量を把握しやすいのがメリットです。
チーズスプレッド
副原料を加えて、常温でもパンなどに塗りやすいよう加工されている半固体状のチーズです。海外と比べると、日本ではあまり馴染みがないかもしれません。加えられる食品のレパートリーが多く、様々な選択肢があるのが魅力です。
チーズの脂質を気にするなら覚えておきたいチーズたち
各チーズの脂質の量がわかりました。まずは、脂質が少ないものと多いものの名前を覚えておくと、チーズ選びがしやすくなるでしょう。しかし、上記以外のチーズを見かけたときはどうすればよいのでしょうか。その時のために、チーズの脂質の量の見極め方もお伝えします。
脂質をカットしたいならこのチーズ
先ほどご覧いただいた表により、脂質が少ないチーズのトップ3はこちらです。
1.カッテージ
2.リコッタ
3.モッツァレラ
これらに共通するのはフレッシュタイプのチーズである点です。水分量が多いので、重量に対しての脂質が少なくなっています。特に、カッテージとリコッタはそれぞれ脂質の少ない、低脂肪乳とホエイ(乳清)が原料なので、他の種類と比べると格段に脂質の量が抑えられています。
このことから、脂質の少ないチーズを選ぶ際にはフレッシュタイプにするということになるのですが、気をつけなければならないのがクリームチーズは例外である点です。マスカルポーネを含むクリームチーズの仲間は原料に生クリームが用いられていますので、フレッシュタイプといえど脂質が多く含まれます。
ですから、脂質の少ないチーズを購入する際は、生クリームが使われていないフレッシュタイプのチーズを選んでください。
脂質が多いので気をつけたいチーズ
数ある中で脂質が多いチーズのワースト3はこちらです。写真はチェダーチーズです。
1.チェダー
2.エメンタール
3.クリーム
これらもまた共通点を探っていきたいのですが、クリームチーズは先述のとおり生クリームを加えているので除外させていただきます。そこで浮かび上がる共通点はハードタイプ、セミハードタイプということです。
これらは、水分量が少なく濃縮されていますので、自然と各栄養成分が多くなっています。
ですから、同じ量を食べるのであれば、ハードタイプ、セミハードタイプは脂質の量が多くなると覚えておいてください。
もう一つ、気をつけていただきたいことがあります。
それは、原料に生クリームを加えて作っているチーズは他にもあるということです。多く見かけるのはカマンベールですが、一部のものではクリームチーズ同様、原料の乳に生クリームを加えています。
そうなると当然、高脂肪となります。商品によっては生クリーム使用と書いてあり、すぐわかるものもありますが、調べないとわからないものもあります。
しっかりしたチーズ屋さんであれば、把握していると思いますので、購入前に訊いて確かめるとよいでしょう。
まとめ
チーズは全体的には脂質が多く含まれる食品ではありますが、種類によっては少ないものもあることがおわかりいただけたかと思います。
そもそも、チーズに含まれる脂質は一般的な油脂類と違い代謝されやすく体に蓄積されにくいですし、チーズは栄養豊富で美容・健康によい食品です。
それぞれのチーズの脂質の量を知った上で、上手にチーズと付き合っていきましょう。