生ハムは、塩漬けにした豚肉を加熱せずに貯蔵熟成した食品です。
そのまま食べるのはもちろん、おつまみや料理に使われることも多く、おいしくて人気があります。
一方で、生ハムは塩分が多いというイメージもありますよね。
塩分は体に悪いと言われていますが、本当にそうでしょうか?
また、生ハムのしょっぱさを和らげることはできないのでしょうか?
この記事では、生ハムの塩分に関する疑問にお答えします。
生ハムの塩分量や健康への影響、塩分の抜き方や栄養素などを解説し、さらに、生ハムのおいしい食べ方も紹介しますね。
生ハムが好きな人も、そうでない人も、この記事を読めば生ハムの魅力に気づくことができるでしょう。 ぜひ最後までお読みください。
生ハムの塩分量と健康への影響
生ハムは、豚肉を塩漬けにして乾燥させることで作られ、この工程で、豚肉に含まれる水分が減り、塩分が濃縮されます。
そのため、生ハムは塩分が多くなります。
では、具体的にどれくらいの塩分が含まれているのでしょうか?
また、それは健康にどう影響するのでしょうか?
ここでは、それらについて詳しく見ていきましょう。
生ハムの塩分量とは?
生ハムとは、塩漬けにした豚肉を一切加熱することなく製造される、保存を目的とした食肉加工品です。
塩漬けにすることで、肉の水分を減らし、腐敗を防ぎます。
また、塩分が肉に浸透することで、旨味や風味も増しています。
その反面、生ハムには多くの塩分が含まれており、長期熟成した生ハムの塩分量は100gあたり約5.6g、比較的塩分が少なめの促成タイプでも100gあたり約2.8g程度です。
塩分摂取量の注意点
生ハムはおいしいけれど、塩分が気になると思っていることでしょう。
塩分は体に必要なミネラルとはいえ、摂り過ぎると高血圧や腎臓病などのリスクが高まりますので当然ですよね。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によれば、1日の推奨塩分摂取量は、男性で7.5g未満、女性で6.5g未満となっています。
ただし、高血圧や慢性腎臓病の重症化を予防するため設定された塩分量は、2020年から男女共に1日6g未満です。
しかし、実際の日本人の平均的な塩分摂取量は男性で約11.0g、女性で約9.3gとなっており、目標値を大きく上回っています。
それを考えると、100gあたり3~5g程度の塩分を含んでいる生ハムの食べ過ぎには注意が必要です。
生ハムを食べるときは、他の食事や飲み物から摂取する塩分量も考慮して、食べる量を決めてください。
生ハムの塩分量を他の食肉加工品と比較
塩分は、生ハムの風味や保存性に重要な役割を果たしていますが、他の食肉加工品と比べると生ハムの塩分量はどれくらいになるのでしょうか?
表にまとめてみましょう。
生ハムと他の食肉加工品に含まれる塩分量
食肉加工品 | 塩分量(100gあたり) |
生ハム(長期熟成タイプ) | 5.6g |
生ハム(促成タイプ) | 2.8g |
ビーフジャーキー | 4.8g |
コンビーフ缶詰 | 1.8g |
ロースハム | 2.3g |
ショルダーベーコン | 2.4g |
ドライソーセージ | 4.4g |
フランクフルトソーセージ | 1.9g |
チキンナゲット | 1.6g |
つくね | 1.8g |
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
生ハムと同じく乾燥の度合いが高いビーフジャーキーやドライソーセージは、塩分量が多くなっていますが、それ以外の食肉加工品は2g前後となっています。
これらと比べると、生ハムの塩分量の多さがわかるでしょう。
生ハムを食べ過ぎるとどうなる?
生ハムはおいしい反面、塩分が多いので食べ過ぎに注意しなければならないことはおわかりいただけたでしょうか。
では、生ハムを食べ過ぎるとどうなるのでしょうか。
以下で代表的な健康リスクを紹介します。
高血圧や心臓病の原因になる
塩分は血圧を上げる作用があります。
血圧が高いと、心臓に負担がかかり、動脈硬化や心筋梗塞などの心臓病のリスクが高まります。
生ハムは、一切れあたりに換算すると、含まれる塩分は約0.5gです。
一日の塩分摂取量を6g以下に抑えるなら、生ハムだけで12切れも食べてしまうと、目安量に達してしまいます。
むくみや肥満の原因になる
塩分には、水分を体内に留める作用があります。
ですから、塩分を摂り過ぎると体内の水分が多くなり、体重が増えたり、むくみやすくなったりします。
また、生ハムは一切れあたりに含まれるカロリーは、約30kcalです。
そこまで高くないとはいえ、カロリー摂取量と代謝量のバランスが崩れると、肥満になりやすくなります。
胃がんの原因になる
塩分の摂り過ぎは、胃の粘膜を刺激して炎症や潰瘍を引き起こし、胃がんができやすい環境を作るとされています。
国立がん研究センターが、約2万人の40~59歳の男性を対象に調査を行ったところ、食塩の摂取量が一番少ない人と比較して、中程度の人で1.96倍、一番多い人で2.23倍、胃がんの発生率が上がったそうです。
また、生ハムの中には、塩分だけでなく、発色剤や防腐剤などの添加物も含むものもありますので、これらの化学物質も胃に悪影響を与えると考えられています。
このような悪影響を及ぼす可能性がありますので、生ハムは適度に楽しむことが大切です。
生ハムのしょっぱい理由と塩分の抜き方
生ハムのしょっぱさは、その製造過程によるものです。
ですから、生ハムの種類によって塩分の感じ方も異なります。
また、塩分が多すぎると、健康に影響が出る可能性があるだけでなく、おいしく食べることもできないので、生ハムの塩分を抜く方法を知っておくと便利です。
ここでは、生ハムの種類としょっぱさの違いや、塩分の抜き方について解説します。
生ハムの種類としょっぱさの違い
生ハムは、ヨーロッパを中心に各地で作られており、さまざまな種類があるため、その塩分量やしょっぱさも異なります。
生ハムの種類は、原料となる豚肉の品種や部位、塩漬けの方法や期間、乾燥や熟成の条件などによって分かれるのが一般的です。
例えば、世界三大ハムの一つに数えられるイタリア産のパルマハムは、パルマ近郊で豚の後ろ足を使い、海塩だけで塩漬けし、最低12か月間熟成させて作られます。
使用する塩は最小限に抑えているため、パルマハムは他の生ハムよりも塩分が少なく、甘みがあるといわれています。
一方、スペイン産のハモン・セラーノは、塩漬けした白豚の後ろ足を使い、長期間気温の低い乾いた場所に吊るして乾燥させ、熟成期間は最低12か月です。
ハモン・セラーノはパルマハムよりも塩分が多く、しょっぱさを強く感じるはずです。
他にも、ドイツ産のラックスハムは、パルマハムよりもさらに塩分が控えめで、日本人の舌に合うといわれています。
また、フランス産のバイヨンヌハムも、日本人好みのまろやかな塩味といわれます。
このように、国や地域によって特徴的な生ハムがありますので、生ハムの種類としょっぱさの違いを知ることで、自分の好みに合った生ハムを選ぶことができるでしょう。
塩分の抜き方
ネットで調べると、生ハムの塩分を抜く方法として、きゅうりやアボカド、豆腐などの食材に生ハムを巻いて、塩分を移すという方法があります。
これらの食材は水分が多く、塩分を吸収しやすいので、生ハムと一緒にラップで包んでしばらく冷蔵庫に入れておくことで、生ハムの塩気が和らぎます。
また、生ハムの塩分やうま味が移動することで、食材もおいしくなるので一石二鳥の方法です。
この方法は、他の食材、特に果物と相性がよく、以下のものが試しやすいでしょう。
・メロン
・桃
・梨
・バナナ
・パイナップル
・グレープフルーツ
・マンゴー
生ハムの栄養素と美容・健康効果
生ハムには、豚肉由来の栄養素が豊富に含まれていて、これらの一部は美容に欠かせないものです。
ここでは、生ハムの栄養素や美容効果についてお伝えします。
生ハムの栄養素
生ハム(長期熟成)100gに含まれる主な栄養素
エネルギー | 253kcal |
タンパク質 | 25.7g |
脂質 | 18.4g |
食物繊維 | (0)g |
炭水化物 | 0g |
カルシウム | 11mg |
鉄 | 1.2mg |
亜鉛 | 3.0mg |
ビタミンA | 5μg |
ビタミンB2 | 0.27mg |
ナイアシン | 7.6mg |
ビタミンC | Tr |
食塩相当量 | 5.6g |
※「(0)」は推定値、「Tr」は微量を表します
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
生ハムは、豚肉に含まれる栄養素をほとんどそのまま摂取することができます。
生ハムに豊富に含まれる栄養素は、タンパク質、ビタミンB群、鉄分、亜鉛などです。
特に、生ハムは高タンパクの食品であるため、筋肉や皮膚の生成に必要なアミノ酸をバランスよく摂ることができます。
また、ビタミンB群はエネルギー代謝や神経系の働きを助ける働きがあり、鉄分や亜鉛は血液や免疫力の維持に重要な役割を果たします。
生ハムは、これらの栄養素を手軽に摂取することが可能です。
また、炭水化物を含みませんので、糖質制限をしている人にもうれしい食品です。
生ハムの美容効果
生ハムには、美容に効果的とされる栄養成分がいくつも含まれています。
その代表的なものを挙げると次のとおりです。
生ハムに含まれる美容に効果があるとされる成分
タンパク質 | 肌のキメや弾力を保つのに必要なアミノ酸を含む |
ビタミンB2 | 肌の代謝を活発化させる |
ナイアシン | 肌の血行を良くする |
鉄分 | 貧血を防ぎ血色を良くする |
亜鉛 | 角質の再生に必要でニキビや吹き出物を防ぐ |
コラーゲン | ある程度含まれ、肌のハリと弾力を保つ |
オレイン酸 | 肌の保湿力を高める |
これらは生ハム特有の成分というわけではないのですが、生ハムを適量摂取することで、ある程度の美肌効果を期待できると言えるでしょう。
生ハムのおいしい食べ方
生ハムはそのままでもおいしいですが、色々な食材と組み合わせると、さらに味わいが広がります。
ここでは、生ハムのおいしい食べ方の一例を紹介します。
野菜と合わせる
生ハムは野菜と相性が良く、サラダや野菜を使ったサンドイッチに加えると食感や風味がプラスされて、よりおいしくなります。
特に、トマトやルッコラなどの酸味や苦味のある野菜は、生ハムの塩分が加わることで絶妙な味のバランスになるでしょう。
また、きゅうりやアボカドなどの水分や油分の多い野菜も、生ハムの塩分を和らげるのでよく合います。
果物と一緒に食べる
先ほどは、生ハムの塩分を抜くために果物を使う方法を紹介しましたが、もちろん一緒に食べるのもよく合います。
特に、メロンや桃などの甘みの強い果物とは、生ハムの塩気とコントラストが生まれておいしいです。
また、パイナップルやグレープフルーツなどの酸味のある果物とも相性が良く、さっぱりとした味わいになります。
果物や先ほど紹介した野菜は、カリウムを多く含んでいる食品です。
カリウムは体内の塩分を排出する働きを持っていますので、おいしいだけでなく健康面からも、果物や野菜を一緒に食べるのはおすすめです。
料理に使う
生ハムは、さまざまな料理にも応用できます。
例えば、パスタやピザにトッピングしたり、チーズと一緒にオーブンで焼いたり、卵料理やスープに加えたりすると、風味豊かな料理になります。
生ハムは加熱すると香りが強くなるので、少量でも満足感が得られるはずです。
まとめ
生ハムはおいしいだけでなく、栄養価が高く、美容効果も期待できる食品です。
しかし、塩分が多いので、摂り過ぎには注意してください。
生ハムの塩分量は製造方法や種類によって異なりますが、一般的には他の食肉加工品よりも高くなっています。
そんな生ハムのしょっぱさを抑えるには、塩分を抜くか、野菜や果物と合わせて食べるのがおすすめです。 生ハムを上手に食べて、美容や健康に役立てましょう。