「発酵食品は体にいい!」
あなたはこの言葉を何度も耳にしていますよね?
そして、これを読んでくださっているということであれば、発酵食品で最初に頭に浮かぶのがチーズではないでしょうか。
チーズは、牛乳やヤギ乳などの動物性乳を発酵させて作られる食品です。
発酵とは、微生物が乳糖やタンパク質などの栄養素を分解して、酸やアルコールなどの物質を作り出すことであり、発酵によって、チーズは独特の風味や食感、栄養価を持つようになります。
今回は、体にいい発酵食品の代表ともいえる、このチーズについて
・作り方
・種類
・栄養と健康効果
・他の発酵食品を合わせるレシピ
などをご紹介します。 チーズの発酵パワーを取り入れて健康や美容に役立てたいとお思いでしたら、ぜひ最後までお読みください。
発酵がキモとなるチーズの作り方
発酵食品とは、原料に含まれる糖やタンパク質などの物質を、微生物が分解することで作られるものです。
チーズの場合、乳酸菌が乳糖を乳酸に変える働きをします。
その後、レンネットという酵素によりカゼインというタンパク質を固め、カードという固形分とホエイという液体に分離され、通常はこのカードがチーズのもとになります。
チーズの作り方は、発酵の条件や時間、温度、塩分などによって多種多様です。
種類によっては、発酵の過程で、乳酸菌やカビなどの微生物がチーズに独特の風味や食感を与えます。
また、発酵後にチーズを熟成させることもあります。
熟成とは、チーズを一定の温度や湿度で保存して、さらに風味や食感を変化させることであり、熟成期間は数日から数年まで様々です。
チーズの作り方を簡単に示すと以下のとおりとなります。
開始 |
↓
乳を加熱 |
↓
乳酸菌を添加 |
↓
乳酸菌による発酵 |
↓
凝固剤を添加 |
↓
カード形成 |
↓
カードを切る |
↓
ホエイ排出 |
↓
塩を加える(一部のチーズの場合) |
↓
熟成 |
↓
終了 |
発酵後の加工で分かれるチーズの種類
チーズは発酵後の加工の違いによって、様々な種類に分かれます。
加工の方法には、
・水分を除去する
・加熱する
・塩を加える
・カビを生やす
・熟成させる
などがあり、これらによって、チーズの硬さや色、香り、味わいが変化します。
チーズの種類について詳しく見ていきましょう。
ナチュラルチーズ
ナチュラルチーズとは、牛乳やヤギ乳などの乳を発酵して作ったチーズを加熱加工をせず製品化したものであり、乳酸菌が生きています。
そのため、ナチュラルチーズは発酵食品としての効果が高く、腸内環境を整えるだけでなく、風味や食感も豊かです。
ナチュラルチーズには様々な種類がありますが、ここでは代表的な6つのグループに分けて紹介します。
フレッシュチーズ
フレッシュチーズとは、発酵後に水分を切って塩を加えるだけのシンプルなチーズです。
水分が多いため、低カロリーでさっぱりとした味わいが特徴です。
フレッシュチーズには、クリームチーズやモッツァレラチーズ、カッテージチーズなどがあります。
フレッシュチーズはそのまま食べてもおいしいですが、サラダやパスタ、デザートなどにも使えます。
フレッシュチーズは発酵食品として体にいいだけでなく、料理の幅も広げてくれるチーズです。
白カビチーズ
白カビチーズとは、チーズの表面に白いカビを生やしたナチュラルチーズの一種です。
白カビはペニシリウム・カンディダムという種類で、チーズに独特の風味と柔らかさを与えます。
白カビチーズでは、カマンベールやブリーなどが有名です。
白カビチーズにも、乳酸菌や酵母菌などの有益な微生物が含まれており、腸内環境を改善するといわれています。
また近年では、白カビチーズに多く含まれる「βラクトペプチド」という成分により認知症予防にも効果があるという研究結果も出てきています。
白カビチーズは、クラッカーやバゲットなどと一緒に食べるのが一般的ですが、オーブンで焼くなど加熱するのも人気の食べ方です。
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ウォッシュチーズ
ウォッシュチーズとは、発酵後のチーズの表面に塩水や酒などを塗って熟成させるチーズのことです。
この方法で、チーズに独特の風味を与えます。
ウォッシュチーズは強い匂いが特徴で、好き嫌いが分かれるチーズですが、その匂いは乳酸菌の一種であるリネンス菌の働きによるもので、体に良い効果もあります。
ウォッシュチーズは、ビールやワインと相性が良く、おつまみにぴったりです。
青カビチーズ
青カビチーズ(ブルーチーズ)は、発酵後に青カビを加えて熟成させるナチュラルチーズの一種です。
青カビはチーズの内部や表面に青や緑の斑点を作り、この斑点が青カビチーズの特徴的な匂いや風味を生み出します。
世界三大ブルーチーズとして有名なのが、ロックフォール、ゴルゴンゾーラ、スティルトンです。
青カビチーズは、乳酸菌だけでなく、青カビによる発酵も受けているため、他のチーズよりも消化が良いとされています。
また、青カビには抗酸化作用や免疫力を高める効果も期待できます。
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セミハードチーズ
セミハードチーズとは、発酵後の乳固形分を圧縮し、水分を抜いたチーズのことであり、水分含有率は38~46%程度で、種類により味わいは様々です。
発酵の過程で乳酸菌が作り出す酸味や香りが特徴的です。
また、熟成期間によって風味や食感が変化し、熟成期間が長いほど、コクや旨みが増し、塩味や苦味が強くなります。
代表的なセミハードチーズには、チェダー、ゴーダ、エメンタールなどがあります。
そのまま食べるのはもちろん、料理にも使いやすいチーズで、サラダに入れたり、グラタンやピザにトッピングしたりと、アレンジの幅が広いです。
ハードチーズ
ハードチーズとは、発酵後の乳固形分を圧縮し、水分含有率を38%以下にして熟成させたチーズのことで、固くて塩味が強いのが特徴です。
熟成期間は数ヶ月から数年に及びます。
代表的なハードチーズは、パルミジャーノ・レッジャーノやグリュイエールなどです。
ハードチーズは、そのまま食べるだけでなく、すりおろしてパスタやサラダにかけたり、焼いたりしてもおいしく食べられます。
また、カルシウムやタンパク質が豊富で、栄養価の点でも優れた発酵食品です。
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プロセスチーズ
プロセスチーズとは、ナチュラルチーズを加熱溶解して再加工したチーズのことで、ナチュラルチーズにはない特徴として、保存性が高いことが挙げられます。
また、ナチュラルチーズでは多くなりがちな塩分や脂肪分を調整できるというのがメリットです。
プロセスチーズは、ナチュラルチーズと比較すると、発酵食品としての効果は低いとされていますが、それでもタンパク質やカルシウムなどの栄養素は含まれています。
また、乳酸菌についても、加熱加工時に死滅するので効果がなくなるといわれますが、死滅していても効果は多く残っているようです。
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チーズの栄養と健康効果
チーズは発酵食品の代表格ですが、その栄養と健康効果はどのようなものなのでしょうか?
この章では、チーズに含まれる乳酸菌やタンパク質、カルシウムなどの成分が、私たちの体にどのように働きかけるのかを解説します。
発酵の主役・乳酸菌の効果で腸内環境を整える
チーズは発酵食品の一種ですが、その発酵には乳酸菌が欠かせません。
乳酸菌は、乳に含まれる乳糖を分解して乳酸にし、チーズの酸味や風味を作ります。
また、腸内に住む善玉菌の一種であり、私たちの体にも良い影響を与え、腸内環境を整える働きがあります。
腸内環境が悪くなると起こりやすいのが、便秘や下痢、免疫力の低下などのトラブル。
しかし、乳酸菌を摂取すると、腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスが変わり、消化や栄養吸収が改善します。
さらに、乳酸菌は有害物質や細菌の増殖を抑えることで、腸内から全身の健康を守ります。
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タンパク質やカルシウムで体を作る
チーズは、乳から作られるため、タンパク質やカルシウムが豊富に含まれています。
タンパク質は、筋肉や骨、皮膚などの体の組織を作るのに必要な栄養素です。
カルシウムは、骨や歯の形成や維持に欠かせないミネラルであり、他にも血液の凝固や神経伝達にも関与しています。
チーズは、乳が濃縮されているため、少量でもタンパク質やカルシウムを効率的に摂取可能です。
例えば、100gの牛乳には約3.3gのタンパク質と約110mgのカルシウムが含まれていますが、100gのチェダーチーズには約25.7gのタンパク質と約740mgのカルシウムが含まれています。
チーズを食べることで、タンパク質やカルシウムを十分に摂取することができますので、体を作るだけでなく、骨粗しょう症や筋力低下などの老化防止にも役立ちます。
ビタミンとミネラルで健康と美容を維持する
チーズには、ビタミンA、B群などのビタミンが豊富に含まれています。
これらのビタミンが持つ重要な働きは、免疫力の向上や皮膚の健康維持、骨や歯の形成、血液の凝固などです。
また、チーズにはリン、マグネシウム、亜鉛などのミネラルも多く含まれており、これらのミネラルは、神経や筋肉の機能、代謝の促進、酸化ストレスの防止などに役立ちます。
チーズを食べることで、これらのビタミンとミネラルをバランスよく摂取することができますので、健康だけでなく美容にも効果的な発酵食品といえるでしょう。
チーズと他の発酵食品を合わせる
チーズと他の発酵食品を合わせると、どんな効果があるのでしょうか?
チーズは乳酸菌が豊富な発酵食品ですが、他の発酵食品にも乳酸菌やビタミン、ミネラルなどの栄養素が含まれています。
チーズと他の発酵食品を組み合わせることで、それぞれの栄養素が相乗効果を発揮し、腸内環境や免疫力の向上、美肌効果などにつながります。
また、味や食感のバラエティが広がるので、食べ飽きることなく楽しめるようにもなるでしょう。
ここでは、チーズと他の発酵食品を合わせたおすすめのレシピを紹介します。
チーズの味噌漬け
チーズの味噌漬けは、チーズと味噌の発酵パワーを合わせた絶品です。
チーズは味噌に漬けることで、コクと風味が増します。
また、チーズと味噌の乳酸菌が相乗効果で腸内環境を改善し、免疫力や代謝を高めるといわれます。
チーズの味噌漬けの作り方は簡単です。
1.好きなチーズを一口大に切ります。 2.味噌とお好みの量の砂糖を混ぜ、そこにチーズを漬け込みます。 3.密閉容器に入れて、時々ひっくり返して味をなじませながら、冷蔵庫で一週間ほど寝かせると完成です。 |
チーズは、クリームチーズやモッツァレラチーズなどのナチュラルチーズでも、プロセスチーズでもお好きなもので結構です。
発酵食品同士の相性が抜群なうえに、うま味もしっかりしていますので、ぜひ好きなお酒のお供として召し上がってみてください。
チーズとキムチのオムレツ
チーズとキムチのオムレツは、発酵食品の相性が抜群なうえに、チーズのコクとキムチの辛さが絶妙にマッチし、食欲をそそります。
また、チーズとキムチにはそれぞれ乳酸菌が豊富に含まれており、腸内環境を改善する効果が期待できます。
さらに、タンパク質やカルシウムなどの栄養素もバランスよく摂れるので、健康的な一品です。
チーズとキムチのオムレツもお手軽に作れます。
1.卵を溶きほぐし、塩・コショウで味付けします。 2.フライパンに油を熱し、弱火でキムチを炒めます。 3.キムチがしんなりしたら、強火にし、卵液を流し入れ、かき混ぜます。 4.卵が程よく固まってきたら、お好みのチーズを真ん中に乗せて、卵を折りたたむようにして巻いていけば出来上がりです。 |
チーズとキムチのオムレツは、朝食やランチにぴったりです。
発酵食品の力で、元気な一日をスタートさせましょう。
チーズとザワークラウトのサラダ
チーズと、キャベツを発酵させて作る「ザワークラウト」を使ったサラダも、発酵食品同士の相性が素晴らしい料理です。
チーズのコクとザワークラウトの酸味がマッチし、さっぱりとした味わいに仕上がります。
また、チーズに含まれないビタミンCをザワークラウトから補えますので、栄養バランスの点でもバッチリです。
もちろん、それぞれに乳酸菌が豊富に含まれており、腸内環境を整える効果や免疫力を高める効果も期待できます。
こちらもパパッと作れます。
1.ザワークラウトは水気を切っておきます。 2.チーズを好みの大きさに切ります。 3.チーズとザワークラウトをボウルに入れて混ぜます。 4.オリーブオイルや塩コショウなどで味付けをして完成です。 |
チーズはお好みのもので結構ですが、フレッシュチーズやセミハードチーズはクセが少ないのでおすすめです。
お好みで、レモン汁やドライハーブなどを加えてもおいしく食べられます。
朝食やランチにはパンと一緒に、夕食にはお肉や魚に添えるとよいでしょう。
発酵食品のパワーで健康的な食生活を送ってください。
まとめ
発酵食品であるチーズは、乳酸菌の働きにより作られ、加工の仕方の違いにより多くの種類があります。
ただ、どの種類のチーズであっても乳酸菌は豊富に含まれていて、腸内環境を整え、免疫力や代謝を高める効果があります。
チーズは他にも、タンパク質やカルシウム、ビタミンやミネラルなどを含むため、体の組織や骨を作ることや、健康や美容への効果も見逃せません。
チーズは種類によって味や食感が違うので、飽きずに楽しめます。
また、他の発酵食品と合わせることで、さらにおいしくなります。 チーズは体にいい発酵食品ですので、ぜひ毎日の食事に取り入れてみてください。