フェタチーズは、ギリシャで多く食べられている、羊や山羊のミルクから作るチーズです。
チーズの種類ではフレッシュチーズに分類されており、古代ギリシャ時代から作り続けられている、世界最古のチーズともいわれています。
今回は、やや馴染みが薄いフェタチーズについて
・どんなチーズで、どんな作り方をしているのか
・おいしい食べ方
・ダイエットにもおすすめな理由
・保存方法や購入先
・代用できるチーズや各国で作られている似たチーズ
・合うワイン
などについて、しっかりご紹介してまいります。
「フェタチーズなんて初耳」
「フェタチーズを食べてみたい」
「フェタチーズをもっと楽しみたい」
という方は、ぜひ最後までお読みください!
さらにもう一歩、チーズの深みにはまれますよ。
ギリシャを代表するフェタチーズとは?
日本でも世界各地のチーズが普及し、様々な種類のものが手に入るようになりましたが、「フェタチーズ」の味や見た目がパッと浮かぶ人はまだ少ないのではないでしょうか。
フェタチーズは、ギリシャでよく食べられているチーズで、塩水で熟成させる独特な製法のため塩味が強いのが特徴です。
前菜やサラダ、揚げ物、焼き物、お菓子の材料として幅広く使われます。
フェタチーズと呼べるのはギリシャ産だけ
現在、「フェタチーズ」を名乗るには、ギリシャで規則に従って作られたものでなければなりません。
かつては、ギリシャ以外の国で製造された同様のチーズにもフェタチーズの名が使われていました。
しかし、2002年にギリシャがPDO(欧州連合の原産地名呼称保護制度)を取得したため、2007年以降はギリシャ産のものでなければフェタチーズと名乗れないようになっています。
ギリシャは山地が多く、農耕よりも羊や山羊の放牧が盛んなため、フェタチーズの原料には羊乳が使われ、最大30%まで山羊乳を混ぜることが許されています。
この羊乳や山羊乳から作られたフレッシュチーズを塩水に浸し、熟成させて製品化したものがフェタチーズです。
フェタチーズは、真っ白な見た目で、小さな穴が不規則に散らばっていて、外皮はなく、ぽろぽろとした独特な食感が特徴です。
その外見は、木綿豆腐にそっくりといえるでしょう。
ギリシャ人にとってフェタチーズは、家庭で作られる伝統食で春に作り、作った直後はそのまま食べ、残りは塩水に漬けて保存します。
ですから、かつては食べる前に塩抜きをするのが一般的でした。
フェタチーズの歴史
フェタチーズの歴史は古く、神への捧げ物としてギリシャ神話にも登場します。
このことから、何世紀にもわたってギリシャ人の食生活に浸透していることがわかるでしょう。
紀元前8世紀の詩人ホメロスの叙事詩『オデュッセイア』では、一つ目の巨人が洞窟の中で羊の乳からチーズを製造している様子が描かれています。
これがフェタチーズの前身と考えられていますが、実際は古代ギリシャのアテネ近郊に住んでいた、ギリシャ人の羊飼いにより作られていたのが起源とされているようです。
長く地元消費が中心でしたが、1898年にギリシャ南東部のシロス島で商品化されたフェタチーズが初めて海外に輸出され、以降世界でも消費されるようになりました。
チーズの歴史について、詳しくはこちらをご覧ください。
フェタチーズの作り方
フェタチーズは羊乳を主原料としていますが、法律では山羊乳を30%まで加えることが許されています。
羊乳の比率が高いほどコクがあり、豊かな味わいとなります。
山羊乳は、酸味と軽快さを出したいときに加えられるようです。
フェタチーズの製造は、乳酸菌と凝乳酵素を原料乳に混ぜて乳を固めてから、1〜2cmのブロック状に切り分けます。
その後、ここからホエイ(乳清)という液体を分離させます。
残った塊はカード(凝乳)と呼ばれ、これを約2ヶ月、塩水に漬けた状態のまま2〜5℃で保存してから製品化されるのが一般的です。
ただし、熟成の仕方は生産者によって異なっており、かつては塩をまぶして木樽で熟成するやり方が普通だったようです。
フェタチーズ
種類 | フレッシュチーズ |
原料乳 | 羊乳(山羊乳は30%まで使用可能) |
原産地 | ギリシャ |
固形分中乳脂肪分 | 43% |
見た目の特徴 | 多くの穴が開いていて、白くて木綿豆腐のよう |
味の特徴 | 塩味が強いが、チーズ自体は酸味がありさっぱり |
フェタチーズのおいしい食べ方
フェタチーズをおいしく食べるには、他のチーズでは不要のひと手間がかかります。
それが塩抜きです。
まずは、塩抜きについて説明します。
また、フェタチーズをおいしく食べるには、やはり原産国ギリシャの料理を参考にするのが一番でしょう。
続いて、ギリシャ料理についてもお伝えします。
フェタチーズの塩抜きのやり方
もともとフェタチーズには、保存性を高めるために多くの塩分が加えられたため、塩抜きは必ずしなければならないものでした。
しかし、現代の保存技術向上により適度な塩分量でも日持ちが良くなり、近頃のフェタチーズでは製造時に塩分量を抑えるようになっています。
そのため現在では、そのまま食べることも一般的になっています。
とはいえ、今でもフェタチーズは、他のフレッシュタイプのチーズに比べると塩分が高めです。
そのため、塩分を控えめにしたい場合は、塩抜きをするのがよいでしょう。
やり方は、水か牛乳に浸して、5~6時間程度、冷蔵庫に入れておくだけです。
牛乳に浸すほうが、水っぽくなりにくいのでおすすめです。
浸す時間は、チーズに含まれる塩分量によって異なるので、定期的に確認し、好みの塩分濃度になるようにしてください。
また、塩抜きをしたフェタチーズは日持ちがしなくなりますので、早めに食べるようにしましょう。
チーズの塩分について、詳しくはこちらをご覧ください。
フェタチーズのおすすめの食べ方
フェタチーズは、ギリシャ料理のレシピには欠かせない存在です。
ギリシャ料理は、日本ではまだ馴染みがないかと思いますが、フェタチーズのおいしさを引き出すにはギリシャ料理に使うのが一番でしょう。
ギリシャの代表的な料理を紹介しますので、ぜひ挑戦して作ってみてください。
ホリアティキ・サラダ
「ホリアティキ・サラダ」は、ギリシャの田舎料理。
トマト、キュウリ、紫玉ねぎ、オリーブなどの野菜に、フェタチーズをのせたシンプルな料理です。
シンプルながらも、フェタチーズが加わることで様々な味が融合して、複雑なおいしさを生み出します。
しかもとってもヘルシーなので、ダイエット中のときなど、健康的な食事をしたいのならおすすめです。
サガナキ
「サガナキ」とは、チーズを油で揚げ焼きにしたギリシャの伝統的な前菜料理。
小さなフライパンに小麦粉をまぶしたフェタチーズを入れ、黄金色に焼き上げ、レモン汁と胡椒を振って味付けをします。
サガナキとは小さなフライパンを意味し、フェタチーズの他にもエビやムール貝を使ったレシピが有名です。
フェタチーズのサガナキは、ピリッとしたトマトソースで食べるとさらにおいしくなりますので、ぜひ一緒にご用意ください。
スピナコピタ
「スピナコピタ」もギリシャの代表的な料理で、フィロと呼ばれる生地の中にフェタチーズとほうれん草を詰めたものです。
具材は、オリーブオイルで玉ねぎを炒め、茹でたほうれん草と溶き卵を加え、塩・胡椒で味付けをし、冷めたらそこにフェタチーズを混ぜ込みます。
この具材を何層にも重ねたフィロ生地で三角形に包み、少しカリッとするまで焼くと完成です。
フェタチーズのオイル漬け
ギリシャで一般的なのが、この「フェタチーズのオイル漬け」という保存食です。
もともとギリシャでは、 フェタチーズをオリーブオイルに漬けて、腐るのを遅らせていました。
オイル漬けにして冷蔵庫に入れておけば、1か月程度は日持ちします。
そのままでワインのおつまみにもなりますし、サラダやパスタ、オムレツなどの具材にしたり、パンと一緒に食べたりもできて便利です。
作り方は、1、2cm角のサイコロ型に切ったフェタチーズを瓶のような容器一杯に詰め、オリーブオイルを満たします。
お好みでニンニクやハーブ、唐辛子などを加えれば完成です。
2~3日すれば、味が馴染みおいしく食べられます。
栄養豊富なフェタチーズはダイエットにもぴったり
チーズの栄養(100g中)
種類 | 名称 | カロリー (kcal) | タンパク質(g) | 脂質 (g) | 炭水化物 (g) | カルシウム (mg) | ビタミンA (μg) | ビタミンB2 (mg) | 食塩相当量 (g) |
ナチュラルチーズ | フェタ | 371 | 18.1 | 31.8 | 3.7 | 1045 | 250 | 0.23 | 1.7 |
エダム | 321 | 28.9 | 25.0 | 1.4 | 660 | 250 | 0.42 | 2.0 | |
エメンタール | 398 | 27.3 | 33.6 | 1.6 | 1200 | 220 | 0.48 | 1.3 | |
カッテージ | 99 | 13.3 | 4.5 | 1.9 | 55 | 37 | 0.15 | 1.0 | |
カマンベール | 291 | 19.1 | 24.7 | 0.9 | 460 | 240 | 0.48 | 2.0 | |
クリーム | 313 | 8.2 | 33.0 | 2.3 | 70 | 250 | 0.22 | 0.7 | |
ゴーダ | 356 | 25.8 | 29.0 | 1.4 | 680 | 270 | 0.33 | 2.0 | |
チェダー | 390 | 25.7 | 33.8 | 1.4 | 740 | 330 | 0.45 | 2.0 | |
パルミジャーノ | 445 | 44.0 | 30.8 | 1.9 | 1300 | 240 | 0.68 | 3.8 | |
ブルー | 326 | 18.8 | 29.0 | 1.0 | 590 | 280 | 0.42 | 3.8 | |
マスカルポーネ | 273 | 4.4 | 28.2 | 4.3 | 150 | 390 | 0.17 | 0.1 | |
モッツァレラ | 269 | 18.4 | 19.9 | 4.2 | 330 | 280 | 0.19 | 0.2 | |
シェーブル | 280 | 20.6 | 21.7 | 2.7 | 130 | 290 | 0.88 | 1.2 | |
リコッタ | 159 | 7.1 | 11.5 | 6.7 | 340 | 160 | 0.21 | 0.4 | |
プロセスチーズ | 313 | 22.7 | 26.0 | 1.3 | 630 | 260 | 0.38 | 2.8 |
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
〈フェタチーズのみ〉USDA栄養データベース
フェタチーズは、ハリウッドのセレブたちにも人気があるといいます。
その理由は、栄養が豊富でありながら、ダイエット効果も高いからです。
フェタチーズの栄養とダイエットに向いている理由をお伝えします。
フェタチーズの栄養
羊や山羊の乳から作られるフェタチーズは、100gあたりのエネルギーが371キロカロリー、たんぱく質18.1g、脂質31.8g、炭水化物3.7g、カルシウム1045mg、ビタミンA250μg、ビタミンB2を0.23mgを含んでいます。
羊乳のタンパク質濃度は牛乳の約1.8倍といわれ、さらに脂肪分が多いため、病気の方の飲料としても最適なほどに栄養豊富です。
特にビタミンAやB2が豊富で、カルシウムも多く含んでいます。
チーズの栄養について、詳しくはこちらをご覧ください。
ダイエットに最適な理由
フェタチーズがセレブに支持される理由は他にもあります。
牛乳のチーズに比べ、フェタチーズには脂肪の燃焼を促進し、満腹感も与える中鎖脂肪酸が豊富に含まれています。
中鎖脂肪酸は他の油脂類に比べて分解されやすく、脂肪として蓄積されにくいので、これらを上手に取り入れることはダイエットにとってより効果的です。
中鎖脂肪酸を含む食品の例としては、ココナッツオイル、乳製品がありますが、フェタチーズなどの羊や山羊の乳製品は牛乳から作られるものより多くの中鎖脂肪酸を含みます。
さらに、フェタチーズにはすでに塩気があるので、肥満につながりやすい、オイルなどを多く含むドレッシングを使う必要がなくなります。
これらの栄養に関する特徴を考えると、フェタチーズはダイエットに取り入れるべき理想的な食品といえるでしょう。
チーズの脂質について、詳しくはこちらをご覧ください。
フェタチーズの保存方法と購入先
フェタチーズは購入した後、どれくらい日持ちがするのでしょうか?
また、どのような保存方法をするとよいのでしょうか?
さらに、日本ではまだ知名度が低いフェタチーズはどこで買えるのでしょうか?
これらについて説明します。
フェタチーズの日持ち
現在、日本で販売されているフェタチーズの多くは、真空パックされています。
開封前であれば、パッケージに記載されている賞味期限内であればおいしく食べられます。
ただし、開封してしまうと日持ちは悪くなります。
フェタチーズは塩分をやや多めに含んでいるものの、カッテージチーズやリコッタチーズなどと同じフレッシュチーズですので、腐るまでの期間は冷蔵保存で5日~1週間程度です。
保存しておいても熟成することはなく、傷んでいく一方なので、早めに食べ切るようにしてください。
フェタチーズの保存方法
そのまま保存するのであれば、フェタチーズも他のチーズと同じようにするとよいでしょう。
ただし、フェタチーズには特有の保存方法もあり、このように保存するとかなり日持ちするようになりますので、すぐに食べられない時は試してみてください。
通常の保存方法
他のチーズと同じようにフェタチーズを保存する際には、気をつけてほしい点がいくつかあります。
それらについて説明します。
①乾燥させない
フェタチーズは乾燥しやすい食品です。
空気に触れた状態にしておくと、すぐに乾燥しておいしくなくなってしまいます。
保存するときは、ラップで包んでから冷蔵庫に入れましょう。
②冷凍しない
ハードタイプでは冷凍してもあまり品質が落ちませんが、フレッシュタイプのチーズなどは、一度冷凍してしまうと品質が落ちてしまいます。
もちろん、フェタチーズも同様です。
たしかに、冷凍すると日持ちがするようになりますが、極力冷凍しないで食べ切るようにしましょう。
③直射日光、高温にさらさない
光と温度は、食品を劣化させる条件です。
それは、フェタチーズでも一緒です。
購入した後は、速やかに冷蔵庫に入れて、直射日光が当たる場所や高温になるところに置かないようにしてください。
④まわりの匂いを吸収させない
フェタチーズは、周りの匂いがつきやすい食べ物です。
特に冷蔵庫内は、様々な食品が入っていて、これらの匂いが移りやすい環境です。
乾燥しないようラップで包んだ後は、匂い移りがしないように、ジッパー付きの保存袋に入れるとよいでしょう。
⑤濡れたままにしない
チーズは全般的に表面が濡れていると、カビが生えやすくなったり腐りやすくなったりします。
フェタチーズも、調理したときに濡れたものをそのまましまうと、さらに傷みやすくなります。
ラップをする前に、キッチンペーパーで水分を良くふき取ってから、冷蔵庫に入れましょう。
塩水に浸して保存する方法
少し濃い目の塩水に漬けると、冷蔵で1ヶ月程度保存することが可能です。
塩水の濃度は、チーズと同じくらいの8%程度が理想とされています。
もし濃度を合わせるのが難しいようであれば、塩水を高めの濃度にするのがおすすめです。
塩分が低いとチーズから塩気が抜けていくため、保存性が落ちてしまいますので注意してください。
食べるときは、塩抜きを忘れないようにしましょう。
オリーブオイルに漬けて保存する方法
フェタチーズを密閉容器に入れて、全体をオリーブオイルで浸すことで、冷蔵保存で1ヶ月程度日持ちさせられるようになります。
現在、フェタチーズは塩漬けにされるのが一般的ですが、かつてはオイル漬けにされていたそうです。
フェタチーズは塩が採れない地域で多く食べられていたため、塩の代わりにオリーブオイルを使う保存法が広まったようです。
先ほど紹介したように、ニンニクなどで風味付けをすれば、味も良くなりますので、ぜひ試してみてください。
チーズが腐るとどうなるか?や正しい保存方法について、詳しくはこちらをご覧ください。
フェタチーズはどこで買えるの?
残念ながら、フェタチーズを売っているお店を身近で見つけるのは、難しいかもしれません。
「それなら、どこで買えるの?」
とお思いですよね。
最も確実な方法は、ネットショップで購入することです。
チーズ専門店のECサイトや、Amazonなどのショッピングモールで購入できます。
もし近くに、カルディやコストコなどの輸入食材に強い販売店があれば売っているかもしれません。
スーパーであれば、成城石井などにも置いてあるようです。
これらに行くのがあまり負担にならないのであれば、ぜひ探してみてください。
フェタチーズの代用に使える食品
先述した通り、フェタチーズは一般的なスーパーやコンビニなどでは手に入らないかもしれません。
しかし、先ほど紹介したギリシャ料理を作ってみたいのなら、なんとかしたいですよね。
そこで、代用できる食品を2つご案内します。
カッテージチーズ
カッテージチーズは、イギリス生まれともオランダ生まれともいわれるチーズです。
ポロポロした食感ながらふんわりとした柔らかさがあり、酸味の効いた優しい味わいをしています。
味の点では、ほぼフェタチーズといってもよいでしょう。
ただし、フェタチーズに比べると塩分は控えめなので、料理に使う際は少し塩を加えるとより近い味わいになります。
また、温めた牛乳に酢またはレモン汁を加え、キッチンペーパーなどで濾すと、簡単に自作することも可能です。
カッテージチーズについて、詳しくはこちらをご覧ください。
木綿豆腐
フェタチーズは、見た目や食感が木綿豆腐にも似ています。
ただし、木綿豆腐をそのまま食べたのでは、やはり違いがわかりやすいので、以下のように調理するとフェタチーズらしく食べられます。
①豆腐全体に塩をすり込んだ後、キッチンペーパーで包み、冷蔵庫で一日寝かせます。
②塩漬けしておいた豆腐を1~2㎝のサイコロ状に切り、レモン汁とハーブ(オレガノ、バジル、パセリなど)をまぶして、密閉容器に入れてオリーブオイルを全体が漬かるまで入れます。
これだけで、植物性タンパク質を多く含んだ、よりヘルシーなフェタチーズ風の代用品の完成です。
フェタチーズに似た世界各国のチーズ
現在、フェタチーズの名前で売られているのはギリシャ産のものに限られますが、他の国でも同じような味わいのチーズが製造されています。
それらのうち、代表的なものを紹介します。
トルコの「ベヤズペイニール」
トルコとギリシャでは、似たような食文化をしています。
そのため、トルコにもフェタチーズと同じようなチーズがあり、ベヤズペイニールと呼ばれています。
このチーズは最も人気があり、単にチーズといえばベヤズペイニールを差すようです。
ただし製法は多様で、牛や羊、山羊の乳、全乳と脱脂乳、熟成の有無など、様々な組み合わせで作られており、製品の種類が豊富です。
インドなどの「パニール」
インドでは、パニールと呼ばれるチーズが料理によく使われます。
パニールは、牛乳に酢やレモン汁などを加えて凝固させたカッテージチーズに近いものを、さらに押し固めて水分を抜いて作ります。
これに似たものは、パキスタンやイランなどでも作られており、名前も同じくパニールです。
これらの国々でも、郷土料理に多く使われています。
ブルガリアの「シレネ」
フェタチーズに近いといえば、ブルガリア産のシレネという、羊や山羊だけでなく、牛や水牛の乳からも作られるチーズがあります。
そのまま食べる他、サラダなどの料理の上からかけたり、オーブン料理として焼いて食べたり、スープに入れたり、と様々な食べ方がされています。
アルメニアの「チャナク」
黒海とカスピ海の中間に位置し、トルコと国境を接するアルメニアでは、チャナクという名のチーズが作られており、フェタチーズに似ています。
アルメニアで古くから作られているチャナクの原料には、羊乳だけが使われる場合と羊乳、牛乳がブレンドされる場合とがあるようです。
チャナクも、サラダやスープなどの料理に多く使われ、さらにはデザートにも使用されます。
アルメニアの隣の国ジョージアにも似たようなチーズがあり、こちらはクヴェリと呼ばれています。
エジプトの「ドミアティ」
エジプトでも、フェタチーズに似たチーズが一般的に食べられていて、ドミアティと呼ばれています。
ドミアティは、水牛の乳から作られることが多いのですが、凝乳酵素を加える前に、乳に直接塩を加えるという変わった方法で作られています。
そのため、フェタチーズよりも塩分が多く、長期保存が可能です。
そのまま食べたり、料理に使ったりし、インドの「サモサ」に似ている料理の「サンブーサ」にもよく使われます。
サンブーサとは、小麦粉でできた生地で肉や野菜などを包み、油で揚げた料理です。
また、このチーズは中東などの、エジプトの近隣の国でも食べられています。
フェタチーズに合うワイン
ギリシャのフェタチーズには、やはりギリシャのワインを合わせるのが定番です。
ギリシャ産の辛口白ワインが手に入れば、ぜひとも合わせてみてください。
とはいえ、ギリシャ産のワインとなると、あまり見かけないのではないでしょうか。
それであれば、手に入れやすいもので合わせることになりますが、おすすめしたいのはイタリア産の白ワインです。
特に、イタリア南部で作られている、辛口ながらもフルーティーさを感じるものがよいでしょう。
イタリアのワイン作りは、海を隔てたギリシャから伝わったとされており、当時入ってきたブドウ品種が未だに地ブドウとして栽培されています。
これら、イタリアの地ブドウから作られたものが手に入れば、相性もぴったりとなるでしょう。
他にも、ロゼワインも合わせやすいと思いますが、しっかりした赤ワインは合わせづらいのではないでしょうか。
赤ワインであれば、極力軽めのものを選んでください。
まとめ
今回は、ギリシャを代表するフェタチーズについてお話をしてまいりました。
羊や山羊の乳から作られていて、塩水に漬けて熟成させる少し変わったチーズです。
古代ギリシャ時代に作られ始めた、世界最古のチーズの一つとされ、ギリシャではいろいろな食べ方をされています。
羊や山羊の乳から作られているフェタチーズは、ヘルシーでダイエットにも適していて、ハリウッドセレブ御用達なんですよね。
ただし、フレッシュチーズであるフェタチーズは、そのままではあまり日持ちがしないので、長期保存をしたいのであれば、開封後は塩水やオリーブオイルに漬けて保存してください。
フェタチーズがないときの代用品や、世界各国で作られている、フェタチーズに似たチーズもご紹介しました。
チーズにはワインが欠かせませんので、フェタチーズに合うワインも覚えておいてください。
やや馴染みが薄いとはいえ、チーズの中では独特のポジションを占める、ギリシャのフェタチーズです。
チーズとの付き合いを深めていきたいのであれば、ぜひ一度はお召し上がりください。
きっと、新たな扉が開きますよ!