情熱の国、スペイン!その国で作られているチーズの種類と特徴、スペインのチーズ史

ケソ・デ・バルデオン

情熱の国スペインでは、数多くのチーズが作られています。

ここでは、「スペインのチーズ」に焦点をあてて、その歴史や特徴、代表的なチーズ3つを紹介していきます。

目次

スペインにおけるチーズの歴史~スペインチーズの歩み

スペインチーズ

ほかのヨーロッパの国々同様、スペインのチーズのチーズもまた長い歴史を持っています。

スペインとポルトガル、2つの国によって統治されているイベリア半島は、スペインのチーズの生まれ故郷だと考えてもよいでしょう。

このイベリア半島で初めてチーズが作られ始めたのは、新石器時代がしっかり根付いてからのことだと考えられています。

実際に、この時期の遺跡から、チーズ作成の過程(カードを取り除く段階)のときに使われた道具とおぼしきものが見つかっています。

ただ、現在のようなチーズが作られ始めたのは、それよりももっとずっと後のことです。

フランスのチーズはローマの進軍、つまりはガイウス・ユリウス・カエサルの歩みによってもたらされたものだとされていましたが、スペインのチーズもまたこの「ローマ時代」と深い関わりがあります。

このころにはスペインのチーズの輸出先として、大帝国ローマがあったとされているのです。

スペインのチーズがより深く人々の生活に根付いたきっかけは、宗教にあります。

かつて人々は、「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」を目指しました。

この「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」は、スペインにある教会です。現在では世界遺産に登録されていますが、

ここを目指して多くのキリスト教が旅をしました。この時代の交通網は、現在のものとは比べ物にならないほどに頼りないものです。旅にかかる時間も、きっとずっと長かったことでしょう。

その長い旅をしていく旅人たちのお腹を満たすものとして、「スペインのチーズ」がありました。

またスペインは、その歴史のなかで、一時期ムスリムによる統治を受けることとなりました。

この統治はしばしば「寛容な」統治と呼ばれるものであって、統治下でも人々は税金さえ納めれば信仰を持つことができましたし、土地を所有することすらできました。

農民たちも、乳を出す羊を手元に置くことを許され、その乳から数多くのチーズを生み出していきました。

このようにして育ってきた「スペインのチーズ」の人気は、21世紀を迎えた現在でも衰えることはありません。

なお20世紀には「大工場の登場により、画一化されたチーズしか出てこなくなるのではないか」と懸念もされていました。

しかし実際には「伝統的な製法のスペインのチーズ」は駆逐されることはなく、上手にこの「新しいチーズ」と共存しています。

スペインのチーズの特徴について

羊

上記の「歴史」のところで「羊の所有を許された」としましたが、ここからも分かる通り、スペインで作られるチーズはよく山羊・羊を原材料としています。

もちろん牛乳を使ったスペインのチーズもありますが、特段意識せずに「スペインのチーズ」を選んだ場合は、かなり高確率で山羊・羊の乳を使ったチーズに当たることになるでしょう。

ちなみに、スペインのチーズに山羊・羊の乳を使ったものが多いのは、「スペインは山岳地帯が多く、そこで山羊・羊がよく飼われていることが理由である」とされています。

なお、特に内陸部では羊乳を使ったものが、沿岸部および山間部では山羊乳を使ったものが多く、北西部では牛乳を使ったチーズがみられるとされています。

フランスでは「AOC」が敷かれていますが、スペインでは「DOP」と呼ばれる制度が敷かれています。

これはワインにも適用されるものであり、「保護原産地呼称」とよばれるものです。

このDOPの認定を受けたものは、「特定の地域で、かつ伝統的な製法で作られたチーズである」と保証されたチーズだといえます。

試してみようスペインのチーズ! スペインチーズ3選

ここからは、現在の日本でも手に入るスペインのチーズについて紹介していきます。

①ケソ・マンチェゴ(セミハード・ハードチーズ)

スペインのチーズのなかでもっとも有名なチーズを問えば、おそらく多くの人がこの「ケソ・マンチェゴ」を挙げることでしょう。

非常に特徴的な網目模様がつけられたチーズであり、スペインで毎年2500トンほども生産されています。

スペインで作られるチーズのなかでもっとも多いのが、この「ケソ・マンチェゴ」です。

マンチェガ種に分類される羊の乳を使って作られるもので、比較的硬めです。

ちなみにこのケソ・マンチェゴは、バレエなどの演目にもなっている「ドン・キホーテ」のなかにも登場しています。

羊のチーズのなかでは比較的食べやすい方に分類されますが、ややくせはあります。

野菜の香りとも生臭さともとれる香りを持つのが特徴で、どちらかといえば中級者さん以上向けのチーズといえるでしょう。ハードチーズらしいコクの深さは見事です。

②テティージャ(セミハード・ハードチーズ)

「乳(おっぱい)」という名前をつけられたテティージャは、その名前の通り円錐型をしています。

ただし日本で買い求める場合は、この円錐型そのものではなく、カットしたものが届くこともあります。

スペインのチーズには山羊や羊を使ったものが多いことはすでに述べた通りですが、「北西部」に位置するテティージャは、牛乳を使って作られています。

見た目以上にあっさりした食感で、むっちりとした弾力を持ちます。

同じ「セミハード・ハードチーズ」に分類されますが、テティージャはケソ・マンチェゴに比べると柔らかな仕上がりになっています。

ちなみに、ケソ・マンチェゴは水分量が38パーセント以下の「ハードチーズ」に、テティージャは水分量38パーセント以上の「セミハード」に分類されています。

比較的主張の弱いチーズです。このまま食べてもおいしいものですが、熱を加えて食べても非常に楽しめます。

③ケソ・デ・バルデオン(ブルーチーズ)

ケソ・デ・バルデオン

最後に紹介するのは、「ケソ・デ・バルデオン」というブルーチーズです。ちなみに「ケソ」とは、「チーズ」を意味する言葉です。

スペインのブルーチーズといえば「カブラレス」ですが、ケソ・デ・バルデオンはそれを真似して作られたとされています。

「ケソ・デ・バルデオンは、カブラレスに比べれば穏やかである」と言われていますが、商品によってはむせ返るような強力な香りを有するものもあります。

塩味も感じられるチーズで、赤ワインにも白ワインにもよく合います。また、イチジクともよくマッチするため、イチジクのサラダなどにドレシング代わりにケソ・デ・バルデオンを合わせても面白いものです。

山羊や羊の乳をよく使って作られるスペインのチーズは、イタリアやフランス、スイスのチーズとはまた違った面白さ・個性を持ちます。

山羊・羊乳を使ったチーズは牛乳を使ったものよりもくせが強いので、その意味ではスペインチーズは中級者さん~上級者さんむきのチーズだといえるでしょう。

ただ、その育ってきた背景までしっかり見て取れるスペインのチーズは、一度は味わっていただきたいものでもあります。

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