チーズフォンデュが分離するのはなぜ!?向いているチーズはどんなもの?

好きな人が多いチーズ料理のうちのひとつ、「チーズフォンデュ」。

このチーズフォンデュは、お店で食べることもできますし、家で作ることもできます。

ここではこのチーズフォンデュを取り上げ、

・そもそもチーズフォンデュとはどんな料理なのか

・チーズフォンデュに向いているチーズとは

・チーズフォンデュの作り方の基本

・チーズフォンデュが分離してしまう理由と防止策とは

・分離してしまったときの対応方法

について解説していきます。

目次

チーズフォンデュとはどんな料理?その歴史とは

チーズフォンデュは、「チーズフォンジュ」あるいは「フォンデュ・オ・フロマージュ」とも呼ばれるものです(ここでは特段の事情がない限りは「チーズフォンデュ」の表記に統一します)。

白ワインなどで割ったチーズを溶かし、切り分けて串に刺した具材にそのチーズを絡めて食べるという料理です。

「フォンジュ」という言葉はフランス語・英語に分類される言葉であり、「溶かす」という言葉の過去形です。

実はフォンジュには、チーズフィンジュ以外にもオイルフォンジュ(油を煮立てて、そこに串に刺した具材を入れて揚げて食べる料理)などもあるのですが、単純に「フォンジュ」と記載した場合には「チーズフォンデュ」を指します。

それほどにまで、チーズフォンデュという料理は一般化したものなのです。

チーズフォンデュは、スイスやフランス~イタリアで広く食べられている料理です。

特にアルプス山脈やその周辺地域で広く親しまれている料理だといえます。

チーズフォンデュは1950年代にスイスの軍隊の料理として採用されたことから「スイス料理」として親しまれるようになり、またその知名度も上がりましたが、チーズフォンデュという料理自体はそれよりもずっと前から存在していたものと思われます。

たとえば古代ギリシアの叙事詩「イリアス」のなかには、現在のチーズフォンデュの流れの元となるであろう表記が出てきます。

それが、「羊から作られたチーズを入れたお酒」の存在です。もっともこれはまだ「チーズフォンデュ」と名付けられたものではありませんでしたし、現在は古代ギリシアよりもスイス~フランスと結び付けられることが多い料理だといえるでしょう。

意外に思われるかもしれませんが、チーズフォンデュはもともとは「チーズのための料理」として誕生したわけではありません。

今よりもずっと食べ物が貴重であった時代に、チーズフォンデュは硬くなってしまったパンをおいしく食べるための方法として開発されたと考えられています。

ただ、上記はあくまで「チーズフォンデュ誕生の一説」にすぎません。

これ以外にも、「牧童が仕事仲に食べるものとして、ありあわせのものを組み合わせてできた」という説や、「神職にある人間が、断食を行う際にとっていた流動食が元となっている」という説や、「兵士が戦場で、自分たちの鉄兜で作ったのが起源である」という説があります。

どのような理由にせよ、チーズフォンデュという料理が昔から広く親しまれ、現在も多くの人に愛されているという事実には変わりありません。

チーズフォンデュは、生まれ故郷から遠く離れた日本でも多くのファンを獲得している料理です。

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チーズフォンデュに向いているチーズを知りたい

さて、ここからはこのチーズフォンデュに向いているチーズを紹介していきましょう。

グリュイエール

グリュイエールチーズ

「チーズフォンデュに向いているチーズ」と検索したときに、その筆頭として挙げられるのはおそらくこのグリュイエールでしょう。

グリュイエールは強いナッツの風味を持ち、濃厚な味わいを有するチーズです。

スイス生まれのこのグリュイエールは「山のチーズ」とも呼ばれていて、チーズフォンデュに最適なチーズのうちのひとつだと考えられています。

細かく刻んだグリュイエールに、よく熱した白ワインを加えて作り出されるチーズフォンデュは、チーズフォンデュの王道ともいえる存在です。

グリュイエールは比較的手に入れやすいチーズでもあるので、自宅でチーズフォンデュを作る場合はまずはこれを利用して作るとよいでしょう。

ちなみに現地では、このグリュイエールにヴァシュラン・フリブルジョワと呼ばれるほかのチーズも加えて作るチーズフォンデュもあります。

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エメンタール

エメンタールチーズ

「チーズアイ」と呼ばれる穴を持つチーズ、それがエメンタールです。

「チーズであること」が非常にわかりやすいため、さまざまなメディアでも「チーズの代名詞」としてこのエメンタールがよく描写されています。

これもグリュイエール同様スイス生まれのチーズであり、香ばしい木の実のような風味を持ちます。

ほろ苦さと甘みを持つうえ、加熱すると伸びも非常によくなるので、チーズフォンデュにとても向いています。ちなみにエメンタールは、熱を加えることで香りもよく引き立つようになります。

エメンタールとグリュイエールは同じスイスで生まれたチーズだからか、非常に相性が良いものです。

そのため、「エメンタールか、それともグリュイエールか」という選択だけでなく、「エメンタールとグリュイエール、両方を使ったチーズフォンデュ」を作ることもできます。なお上では「グリュイエールにヴァシュラン・フリブルジョワを掛け合わせる」としましたが、ヴァシュラン・フリブルジョワは日本ではかなり入手難易度が高いものです。

そのため、「複数のチーズを使ったチーズフォンデュ」を考えるならば、グリュイエール×エメンタールにするのが現実的です。

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フォンティーナ

日本で取り上げられる「チーズフォンデュに向いたチーズ」は、多くの場合グリュイエールあるいはエメンタールです。

しかしここでは「フォンティーナ」も取り上げましょう。

フォンティーナはイタリア生まれのチーズであり、ナッツや牧草を思わせる香を持ちます。

表面を塩水で洗って作っているからか、わずかながらウォッシュチーズのような風味もあるのが特徴です。

このフォンティーナは、イタリア版のチーズフォンデュともいうべき「フォンドゥータ」によく合います。

これは、溶かしたバターとチーズに白ワインと卵黄を混ぜて作ったソースに、具材を入れて食べるものです。

「いつものチーズフォンデュに飽きた」という人は、ぜひこれも試してみてください。

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 チーズフォンデュの作り方の基本

チーズフォンデュの基礎知識を紹介してきたところで、ここからは家庭でチーズフォンデュを作るときのやり方を考えていきましょう。

【用意するもの】

任意のチーズ(上で挙げたグリュイエールやエメンタールが使いやすい)……300グラム

コーンスターチ(なければ片栗粉)……10グラム

辛口の白ワイン……150ミリリットル

にんにく

お好みでコショウ

任意の野菜、パン

【作り方】

1.具材を切っておく

2.熱を通す必要のある具材(ニンジンやブロッコリーなど)はゆであげておく

3.チーズをすりおろす、あるいはできるだけ細かく切る

4.3にコーンスターチをまぶしておく

5.鍋の壁面にニンニクを塗る

6.5の中にワインを入れて火にかけ、沸騰させる

7.6の中にチーズを3回程度に分けて入れ、その都度よくかき混ぜて溶かす

8.お好みで最後にコショウを入れる

9.完成! 串に刺した具材を絡めて食べる

チーズフォンデュはチーズが固まらないようにするために、熱し続ける必要があります。

そのため固形燃料で温め続けられる小型のチーズフォンデュ鍋を使うのが理想的です。

ただ、「とりあえず作ってみたい」「まずは試してみたい」ということであれば、チーズフォンデュ用の鍋を買い求める必要まではありません。

一般家庭にある鍋(小ぶりが望ましい)でも作ることができます。

また鉄の串がなくても、竹串などで代用することもできます。

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チーズフォンデュが分離する!その理由と予防策は?

チーズフォンデュは「家庭の料理」であるため、それほど難しい料理ではありません。そのため手順を順守すれば、失敗する可能性は低いといえるでしょう。

ただ逆に言えば、「手順を順守しないと、意外なところで失敗することが多い料理」でもあります。

よくある失敗としては、「分離してしまう」というものです。

また、分離とも少しつながりがありますが、「チーズがきちんと溶けてくれない」という失敗もよく耳にします。

チーズフォンデュが分離してしまったり、チーズフォンデュのチーズが解け残ったりする原因は、以下のいずれかです。

1.コーンスターチを使っていない

2.ワインを十分に温め切れていない

3.チーズを一度に入れている

4.チーズの量が多すぎる

それぞれ解説していきます。

コーンスターチを使っていない

コーンスターチは、チーズフォンデュの「味」には影響しません。しかしこれを入れるかどうかで、チーズフォンデュがきちんと作れるかどうかが変わってきます。

コーンスターチは、チーズに含まれているカゼイン(固まる性質を持つたんぱく質のこと)とカルシウムが水分部分と分離しにくくさせる効果を持っています。乳化(本来は混ざり合わないものであるはずの油と水分を、均等に混ぜ合わせる効果のこと)もしやすくすることができます。

コーンスターチが手に入らない場合は片栗粉でも代用できますが、この手順は省かないようにしてください。

ワインを十分に温め切れていない

ワインをきちんと温めていないと、チーズだけが先に溶けてくっついてしまいます。

ワイン部分とチーズ部分が分離してしまうことになるので、ワインはしっかり温めることが重要です。

ちなみに、ワインに含まれている「酒石酸」と呼ばれる成分は、チーズのカルシウムとよく結合し、乳化を促進させる効果があります。

ただ、「できるだけ失敗のリスクを最小限にしたい」ということであれば、この酒石酸に加えて、クエン酸の力も借りるとよいでしょう。

クエン酸はレモン汁によく含まれているので、レモン汁を少しチーズフォンデュに落とすのです。

チーズを一度に入れている

コーンスターチをまぶしたチーズであっても、またきちんと熱したワインであっても、一度に合わせてしまうとどうしても溶け残りが出てしまいます。

そのため、チーズは複数回(3回程度)に分けて入れるようにします。1度入れたらその都度丁寧に溶かし切り、その後にまたチーズを改めて加えるようにしましょう。

チーズの量が多すぎる

レシピの通りの分量で作っているのであればあまり問題はありませんが、「少し多めに作ろう!」「チーズを増やして贅沢にいきたい」と考えてチーズの量を増やしてしまうと失敗につながります。

チーズの量が多すぎるとワインでは受け止めきれず、溶け残りや分離の原因になってしまうのです。

そのため、チーズとワインの量はきちんと守るようにしましょう。

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チーズフォンデュを分離させないための方法、分離してしまったときの対応方法について

最後に、「それでは、チーズフォンデュが分離してしまったときにはどのように対処すればよいか?」についても解説していきます。

チーズフォンデュが分離してしまった場合は、

1.違う鍋で、牛乳やワインを温める

2.そこにコ-ンスターチを入れてよく溶かす

3.2を、もともとのチーズフォンデュの鍋に少しずつ加えていき、ゆっくりと混ぜる

という対策をとってください。

このときに特に大切なのは、1の工程です。

冷たい牛乳やワインをもともとのチーズフォンデュの鍋にそのまま入れて伸ばそうとすると、逆に鍋が冷えてしまい、状況が悪化してしまう可能性が高いといえます。

そのため、必ず別の鍋を使い、温度もしっかり上げるようにしてください。

また、そこに新しく加えたコーンスターチはしっかり溶かしたのち、鍋に「少しずつ」加えていくことが重要です。

「チーズを一度に入れてしまうと、分離や溶け残りの原因になる」としましたが、修正対応も同じです。

少し入れてかき混ぜて様子を見て、少し落ち着いたらさらに加えていく……というやり方を取らなければなりません。

ちなみに、「それでも上手くリカバリーできなかった」「リカバリーはできたが、チーズフォンデュのソースが余ってしまった」などのときは、リゾットにしたりパスタソースにしたりと作り変えてしまうとよいでしょう。

また、ベーコンや野菜を耐熱容器に入れて、チーズフォンデュのソースを流し入れ、オーブンで焼き上げて楽しむのもよいものです。

私たちの舌をいつも楽しませてくれるチーズフォンデュ、ぜひ作ってみてくださいね。

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