世界三大ブルーチーズの「ゴルゴンゾーラ」、その魅力に迫る!ピカンテとドルチェの違いも解説

ゴルゴンゾーラ

ナチュラルチーズと一口に言っても、その種類や味わいはさまざまです。それぞれのチーズには語られるべき歴史があり、語られるべき背景があります。

今回はそんな魅力的なナチュラルチーズのなかから、世界三大青カビチーズのうちの1つに数えられるゴルゴンゾーラについて取り上げます。

目次

ゴルゴンゾーラとはどんなチーズか

ゴルゴンゾーラピカンテ

ゴルゴンゾーラは、チーズの名産地である北イタリアを主な生産地としているチーズです。

このゴルゴンゾーラは世界三大青カビチーズ(世界三大ブルーチーズ)のうちの1つに数えられています。

なお、ゴルゴンゾーラ以外の2つに、「ロックフォールチーズ(フランス)」と「スティルトン(イギリス)」があります。

ロックフォールについては、下記記事をご覧ください。

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ゴルゴンゾーラは、牛乳から作られているチーズです。

ゴルゴンゾーラの最大の特徴として、ゴルゴンゾーラピカンテとゴルゴンゾーラドルチェの2つがあることが挙げられます。詳しくは後述しますが、ゴルゴンゾーラピカンテの方は辛口で、ゴルゴンゾーラドルチェの方は甘口の味わいになっています。

上質な青かびを宿したゴルゴンゾーラは、非常に人気の高いチーズです。そのまま食べてもとてもおいしく食べることができるのですが、ゴルゴンゾーラを利用したさまざまな料理も提供されています。

たとえば、リゾットやピザなどがその代表例です。

ゴルゴンゾーラを主に生産している都市として、イタリア北西部にあるピエモンテ州のノヴァーラという都市がありますが、ここはノヴァーラ米という米も生産しています。

そのため、「ノヴァーラを訪れたのならば、ノヴァーラ米とノヴァーラ産のゴルゴンゾーラを使ったゴルゴンゾーラ・リゾットを食すべし」と言われています。

ゴルゴンゾーラの歴史

洞窟

ここからは、ゴルゴンゾーラの歴史についてみていきましょう。

ゴルゴンゾーラが、いつ、どのように作られたのかについては諸説あります。

1.何世紀にもわたってチーズが作られていたパストゥーロ・ネッラ・バルサッシーナという洞窟のなかで生まれた

2.恋に夢中になっていたら、チーズに青カビが生えてしまったところから発生した

3.西暦879年に、ミラノ郊外でゴルゴンゾーラが作られたのが最初

このうちのどれが正解なのかはわかりません。

ただ、ゴルゴンゾーラ村で作られていたストラッキーノ(脂肪分の多く含む牛乳のチーズのこと)が、後になってゴルゴンゾーラチーズと呼ばれるようになったとはいわれています。

さて、私たちが当たり前のように「ゴルゴンゾーラ」と呼んでいるこのチーズですが、実は正式名称は「ゴルゴンゾーラ・ディ・ストラッキーノ」です。

この「ストラッキーノ」は「疲れた」という意味を持っています。このことも、ゴルゴンゾーラの歴史を語るキーになります。

9世紀ごろ、アルプスでは放牧が盛んに行われていました。

その帰り道にはゴルゴンゾーラ村があり、そこで疲れた牛から乳を搾っていました。この乳から作られたのがチーズであり、「疲れた牛から作られたチーズ」という意味でこの名前がつけられうたのだといわれています。

このようにしてイタリアで生まれたゴルゴンゾーラチーズが国外に広まるのには、それほど時間はかかりませんでした。

西暦900年代にはすでに、イギリスやフランス、ドイツといった国にゴルゴンゾーラが輸出され始めます。

そして戦後になると、新しい製法が誕生しました。

より効率よく、より衛生的に、より安くゴルゴンゾーラを作るために、「いったんすべての酪農場からミルクを仕入れて、それをチーズのかたちにして、その後に熟成所に運ぶ」というスタイルがとられるようになりました。

このゴルゴンゾーラ作成のための近代化の波は、消費者にとっては非常にありがたいものでしたが、小さな販売店を駆逐してしまった……という問題もはらんでいます。

ただ、こうして長い時間を経ても、ゴルゴンゾーラが多くの人に愛されるチーズであることには変わりありません。多少の増減はあるものの、日本でもチーズの需要は高まっていて、そのなかにはこの「ゴルゴンゾーラ」もあります。

ゴルゴンゾーラピカンテとゴルゴンゾーラドルチェの違い

さて、ゴルゴンゾーラには2つの種類がある……とはすでに述べた通りです。この項目では、その「2つのゴルゴンゾーラ」について解説していきます。

ゴルゴンゾーラには、大きく分けて「ピカンテ」と「ドルチェ」があります。ここまでは「ゴルゴンゾーラ」と記してきましたが、この項目では「ゴルゴンゾーラピカンテ」「ゴルゴンゾーラドルチェ」として解説していきます。

ゴルゴンゾーラピカンテ

ゴルゴンゾーラピカンテは、古くから存在していたものです。ゴルゴンゾーラピカンテの方が青カビの量が多く、その味わいもシャープで、比較的塩味を強く感じます。青カビらしい刺激的な味わいを求める人に非常に愛される味わいであり、組織も比較的硬くまとまっています。

チーズを作る際は、豆腐のように固めた牛乳から水分を抜く必要があります。ゴルゴンゾーラピカンテはしっかりと水分を抜く必要があるので、この段階で比較的小さめにカットされます。そして90日間の熟成が行われます。

ゴルゴンゾーラピカンテはゴルゴンゾーラドルチェに比べるとやや上級者向けのチーズだといえます。

青カビがしっかり主張すること、製法からも分かるようにやや硬めであること(ただ、硬めであるとはいっても、ハードチーズなどよりはずっと柔らかです)などがその理由です。

ゴルゴンゾーラドルチェ

対してゴルゴンゾーラドルチェの方は、比較的優しい味わいを持っています。ドルチェは、甘いという意味を持っており、風味もマイルドです。香りもそれほど強くなく、優しい味わいを持っています。

また食感も柔らかいため、初心者さん向けのチーズだといえるでしょう。青カビの量もゴルゴンゾーラピカンテほどは多くなく、控えめです。

固めた牛乳をカットする際に比較的大きく切ること、また熟成期間が60日程度であることが、このドルチェ独特の穏やかな風味を作り出しています。

ゴルゴンゾーラチーズ自体は非常に長い歴史を持っていますが、ゴルゴンゾーラドルチェが誕生したのは戦後のことです。

誕生するやいなや、そのほのかな甘みやマイルドな刺激で多くの人を虜にしました。ナチュラルチーズ、殊に青カビチーズの独特の風味に慣れていなかった日本人には、特にこのゴルゴンゾーラドルチェが非常に愛されました。

一時期、日本に入ってきていたゴルゴンゾーラはドルチェが主流だったと語るチーズの専門家もいます。

なお、データによっては「ゴルゴンゾーラチーズのうちの、9割はゴルゴンゾーラドルチェである」としているものもあります。

出典:知っておいしいチーズ事典|本間るみ子P85

もっとも、ナチュラルチーズを好む人が増えてきたこともあり、現在ではゴルゴンゾーラピカンテも非常に人気が出ています。

これはあくまで体感的なものであって明確な統計などをとったわけではありませんが、大型のスーパーなどではゴルゴンゾーラピカンテとゴルゴンゾーラドルチェの両方が売られていることが多く、どちらも入手しやすいチーズになったといえるでしょう。

ゴルゴンゾーラピカンテもゴルゴンゾーラドルチェも、非常に多くのファンを獲得しているものです。

「どちらのゴルゴンゾーラチーズが良い・悪い」といえるものではありませんから、その特性を踏まえたうえで、自分の好みにあったゴルゴンゾーラチーズを選ぶとよいでしょう。

ただ、刺激的で青カビらしい風味を存分に味わいたいならばゴルゴンゾーラピカンテを、青カビチーズに慣れていなかったり優しい風味の青カビチーズが好きだったりするのならばゴルゴンゾーラドルチェを選ぶことをおすすめします

ゴルゴンゾーラに合うワイン

ワインとチーズ

チーズの恋人といえばワイン、ワインの恋人といえばチーズです。最後に、チーズとワインの資格を両方持っている私が、「ゴルゴンゾーラに合うワイン」を軽く紹介します。

ゴルゴンゾーラとワインを合わせるときは、「ゴルゴンゾーラピカンテか、それともゴルゴンゾーラドルチェか」で合わせるべきワインが変わってきます。それぞれ見ていきましょう。

ゴルゴンゾーラピカンテ

存在感のあるゴルゴンゾーラピカンテと合わせる際には、ワインもある程度しっかりしたものが良いでしょう。

またチーズに限ったことではありませんが、料理・食材にどんなワインを合わせようか迷ったときは、「その料理・食材が生まれたところでつくられているワイン」を選ぶのが基本です。

そのため、イタリア生まれのバローロあるいはバルバレスコを選ぶのが良いでしょう。ほかにも、アマローネなどがよく合います。

なお、塩味の強いゴルゴンゾーラピカンテにはちみつをかけて楽しむという楽しみ方もあります

「同じ傾向の味を掛け合わせること」もワインと料理・食材の基本ですが、まったく正反対の味わいのものを掛け合わせることもまたマリアージュ・ペアリングの基本です。

この考え方にのっとって、とても甘いデザートワイン(貴腐ワインなど)を合わせても良いでしょう。デザートワインとゴルゴンゾーラピカンテを組み合わせる場合は、食事の最中で楽しむというよりも、食事の〆あるいはチーズとデザートワインだけで楽しむなどのやり方がおすすめです。

反対に、しっかりとした赤ワインと合わせる場合は、食事の最中に差しはさんでもよいでしょう。

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ゴルゴンゾーラドルチェ

ほのかに甘い風味を持つゴルゴンゾーラドルチェの場合、ゴルゴンゾーラピカンテに比べて適用範囲が比較的広めだといえます。

「青カビといえば赤ワイン」と思う人も多いかもしれませんが、ゴルゴンゾーラドルチェの場合は白ワインとも非常に相性が良く、きれいにマッチします

ブドウの種類でいえばリースリングなどが種類も豊富で選びやすいでしょう。またこれは若干「好み」も入ってくる表現ですが、リースリングのなかでも比較的甘さが控えめなものを選ぶと、甘さがけんかせずに楽しみやすいかと思われます。

また、イタリア生まれのブドウであるピノ・ビアンコの軽い味わいも、ゴルゴンゾーラドルチェによくマッチします。

赤ワインならば、果実感が強く出るものを選ぶとよいでしょう。ピカンテよりも軽い風味のものを合わせるように意識してみると良いかもしれません。

また、ロゼワインと合わせても良いものです。

ゴルゴンゾーラピカンテと合わせるワインの適温は、18度くらいでしょう。対してゴルゴンゾーラドルチェと合わせるワインの適温は16度くらいがちょうど良いかと思われます。

ただし、味覚や好みは「個人差」が非常に大きいものです。上で挙げた「相性の良いワイン」はひとつの傾向として覚えておいて損はないものですが、「自分にとっての、ゴルゴンゾーラチーズと最高に合うワイン」はそれぞれの好みと舌によって決めていくものです

昔から愛され続けてきたゴルゴンゾーラは、1000年以上の時を超えてなお、私たちを魅了してやみません。

ゴルゴンゾーラピカンテとゴルゴンゾーラドルチェ、熟成期間、ブランドによって味わいもまた変わってきますから、いろいろ試してみてくださいね。

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