いまやすっかりおなじみの「チーズフォンデュ」
とろ~り溶けたアツアツのチーズを、パンや野菜などに絡めて食べるお料理です。
かつては飲食店で食べるものと思われていましたが、今では各家庭で作って食べることも珍しくなくなりました。
しかし、いざ作ろうと思い調べてみると、使うチーズの種類がいろいろあり、オーソドックスなものから少し変わったものまで、チーズの組み合わせや比率次第で様々な味わいを楽しめるようです。となると、どんな種類のチーズを用意しようか、どうやって作ろうかと迷ってしまいますよね。
そこで今回はチーズフォンデュについて、そもそもどんなお料理なのか?
どんな種類のチーズを使うとよいのか? 作り方のコツなどをお伝えします。
チーズフォンデュに詳しくなれて、あなたのチーズライフをより充実させることができるようになりますので、ぜひ最後までお読みくださいね。
チーズフォンデュとは?
チーズ・フォンデュとは、温めた白ワインなどにチーズを溶かして煮込み、それをパンや野菜などの具材に絡めて食べる家庭料理です。
アルプスとその周辺地域の山岳地帯で最も代表的な家庭料理および郷土料理であり、スイスを中心にフランスやイタリアでも食べられています。
フォンデュの語源は「溶かす」という意味ですが、いまやフォンデュといえば、チーズフォンデュを指すことがほとんどです。
元々は、固くなったパンを柔らかくして、美味しく食べるために考案されたものといわれています。
一般的に使用されるチーズの種類はエメンタールとグリュイエールですが、使うチーズの種類やそれらを混ぜ合わせる比率などは家庭によって異なり、それぞれが伝統的な味を維持しています。
チーズフォンデュにピッタリのチーズの種類8選!
チーズフォンデュには様々なチーズが使用されます。
しかし、ほとんどはハードチーズやセミハードチーズに分類されるもので、特に定番となっているのは、エメンタールチーズとグリュイエールチーズです。
とはいえ実際は、使うチーズに厳密な決まりがあるわけでなく、かなり自由にチーズ選びを楽しんでいただくことができますので、これから紹介する種類をはじめ、いろいろなチーズでフォンデュを楽しんでください。
チーズの種類 | 味の特徴 |
エメンタール | 木の実に似た独特の香りを持ち、火を通すことでさらに旨みを増す |
グリュイエール | 加熱することで旨みを増すチーズで、ナッツのようなコクを感じる風味とクリーミーさがあり、やや酸味を感じる |
ゴーダ | おだやかでクセのない香りとまろやかな口当たり |
コンテ | ナッツのような香ばしい風味があり、後からミルクの濃厚なコクが口いっぱいに広がる |
ボーフォール | 上品なコクがあり、フルーティーな味わい |
ブルーチーズ | ピリッとした刺激や強烈な塩味を持つ |
プロセスチーズ | 誰もが親しみやすい、クセが少ない味わい |
チーズフォンデュ用チーズミックス | 種類により、味はそれぞれで異なる |
エメンタール
エメンタールチーズは、スイスのエメンタール地方が原産のハードチーズです。
「チーズの王様」という呼び名もあり、木の実に似た、香ばしくて独特の香りを持っているのが特徴です。
火を通すことで、さらに旨みを増すチーズなので、そのまま食べるのはもちろん、様々なお料理にも利用されており、特にチーズフォンデュには欠かせないチーズとされています。
切ると内部にはチーズアイと呼ばれる多数の穴(気孔)が空いており、この穴のためチーズの中央部が大きく膨らんでいます。アニメなどに登場する穴の空いたチーズが、このエメンタールです。
グリュイエール
グリュイエールチーズは、スイス・グリュイエール地方原産のチーズです。
こちらも、加熱することで旨みを増すチーズで、ナッツのようなコクを感じる風味とクリーミーさがあり、やや酸味を感じるのが特徴です。
チーズフォンデュでよく使われる他にも、フランス料理ではエメンタールチーズと並び、オニオングラタンスープやクロックムッシュ、グラタン、キッシュなどの料理によく使用されます。
フランスでは、伝統的にハードチーズをグリュイエールと呼んでいましたが、現在は、グリュイエールの呼び名はスイス産のものに限られています。
ゴーダ
オランダでのチーズ生産量の60%を占めるのが、このゴーダチーズです。エダムチーズと並ぶ、オランダの代表的なセミハードチーズであり、世界中で人気があります。
ロッテルダム近郊の町、ゴーダが発祥であることから、この名前がついています。
おだやかでクセのない香りとまろやかな口当たりの風味が特徴のため、日本でもとても親しまれているチーズです。
プロセスチーズの原料となることも多いので、口にした瞬間に馴染みのある味わいが広がり、安心感を得られるでしょう。
コンテ
フランスのジュラ地方で古くから作られているチーズです。
ナッツのような香ばしい風味があり、後からミルクの濃厚なコクが口いっぱいに広がるのが味の特徴です。
このように、味わいはしっかりとしているのですが、しつこさは感じないので、フォンデュ以外にもグラタンやサンドイッチなどにも使えて、料理のレパートリーを広げてくれるチーズです。
ボーフォール
コンテと同じ「山のチーズ」と言われるのが、このボーフォールです。
フランスのサヴォア地方、イタリアやスイスとの国境近くにある山岳地帯で作られており、ボーフォールというネーミングはその地名に由来します。
「チーズのプリンス」とも呼ばれるボーフォールは、ミルクをたくさん使って作るため上品なコクがあり、フルーティーな味わいを際立たせています。
食感はしっとりとしていながら、しなやか。爽やかな香りと蜜のような甘みとが口中で混然一体となって広がります。
ブルーチーズ
ブルーチーズとは、牛や羊の乳からチーズを作る過程で青カビを繁殖させ、熟成させたものです。
内側に穴を開けてカビを繁殖させることで、独特の風味を生み出しています。
ピリッとした刺激や強烈な塩味が特徴で、このクセの強さにハマり、ファンになる人が多数います。
カビといえば、一般的には有害なものというイメージがありますが、ブルーチーズで使用するカビは製造過程で無毒化されるため、食べても問題ありません。
イタリア産のゴルゴンゾーラ、フランス産のロックフォール、イギリス産のスティルトンが「世界三大ブルーチーズ」として親しまれています。
プロセスチーズ
これまで紹介してきたチーズは、すべて「ナチュラルチーズ」と呼ばれる種類のもので、原料の乳に乳酸菌や酵素などを加えて凝固させて作ります。
一般的には、乳酸菌などが活きている状態で製品化され、その後も熟成が進むのが特徴です。
対して、これらのナチュラルチーズなどを原料として、加熱や成型して製造するのがプロセスチーズです。
加工されているために乳酸菌が活性を失っており、熟成が進むことがないため、賞味期限も長くなっています。
スーパーなどでも多く取扱われており、クセが少ない味わいなので家庭でも親しまれています。
手軽にフォンデュを楽しみたいときに、とても重宝するチーズです。
チーズフォンデュ用チーズミックス
まずは、シュレッドタイプのチーズが様々販売されています。
エメンタールなどが1種類のみで売られているものもあれば、複数種類をミックスしたものもあり、味はそれぞれで異なっています。
チーズフォンデュ用とは書かれていないものであっても、ほとんどの商品がフォンデュにも使用可能です。
これらのチーズを使うメリットは、フォンデュを作る際に細かくする手間が省けることです。
他にも、チーズフォンデュ用として販売されている、レトルトパックされたものもたくさんあります。
これらは、味付けもされていて温めるだけでよいものもあり、チーズフォンデュをすぐに食べたいときなどにとても助かります。
チーズフォンデュのおすすめの楽しみ方
ご家庭でチーズフォンデュを作ることの魅力は、自分だけの味を作るという楽しみ方ができることでしょう。
ここでは、基本的な作り方から変化のつけ方などのおすすめの楽しみ方を紹介します。
基本の作り方をマスターする
一般的なチーズフォンデュの作り方は、以下のとおりです。
1 お好みのチーズを細かく切って、コーンスターチ(片栗粉や小麦粉でも可)をまぶします。 チーズはエメンタールとグリュイエールが2:1というのが基本で、3~4人前であれば、それぞれ200gと100gくらいが標準です。 コーンスターチは、チーズ同士がくっついたり、溶かしたチーズが分離したりするのを防ぎますので、全体にまんべんなくまぶしてください。 |
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2 フォンデュ鍋に半分に切ったニンニクの切り口をこすりつけて、香りをつけます。白ワインを鍋に入れてから火にかけアルコールを飛ばします。お酒が飲めない方やお酒の匂いが苦手な方がいる場合には、白ワインの代わりに牛乳を使うことも可能です。 専用のフォンデュ鍋がなくても、普通の鍋で代用可能です。試しに作ってみようという感じでしたら、お手持ちの物から小ぶりで深さのあるものを選んでお使いください。 |
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3 ワインのアルコールが飛んだら、弱火にして、分離しないように木ベラでかき混ぜながらチーズを少しずつ加えてください。好みでキルシュを加えて香り付けをすると、より本格的な味わいになります。 キルシュとはサクランボが原料の蒸留酒です。一般的な酒屋さんで売られていることは少ないですが、スーパーなどでケーキ製造用に小瓶で売られていることがありますので、これを手に入れるとよいでしょう。 |
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4 これでソースは完成です。冷めないように火にかけたまま、バゲットや茹で野菜、肉、魚介類などにチーズをからめて食べてください。ただし、焦げつかないように時々かき混ぜることを忘れないようにしましょう。 |
チーズをブレンドして自分の味を見つける
基本のブレンドは、エメンタールとグリュイエールを2:1だとお伝えしましたが、この比率は自由に変えて楽しむことができます。
また、他のチーズと入れ替えたり、チーズの種類を増やしたりとバリエーションは無限に増やすことも可能です。
先ほど紹介したチーズ以外にも、お好きなチーズを入れるのもいいでしょう。
スイスなどでも、家庭ごとにお気に入りの配合があり、独自においしさを追求しているようです。自分だけのオリジナルレシピを開発してみてください。
ただし、気をつけてほしいことがあります。それは、クセの強いチーズをはじめから多く入れないことです。ブルーチーズなどは匂いや味が強烈なため、入れすぎてしまうと、そのチーズの味しかしないということになってしまいます。
ですから、個性的なチーズを使用するときは、はじめは少しだけにしておくか、次に紹介する味変(あじへん)用にとっておきましょう。
味変(あじへん)用のチーズを加える
さきほど、個性的なチーズははじめから入れ過ぎないようにと書きましたが、味変させるために別にしておく方法もあります。
味変とは「味を変える」という意味なのですが、料理を食べている途中に調味料などを加えて、風味を変化させる楽しみ方を指します。
チーズフォンデュも、途中から味を変えていくことが可能です。最初はオーソドックスな味で食べ始めて、後から少しずつクセの強いチーズを追加していくと、変化を楽しめます。
味変用のチーズとしては、先ほどのブルーチーズ以外にもおすすめがあります。
トリュフやハーブ、スパイス、トマト、オリーブなど、特徴ある副原料が入った個性的なチーズが様々売られていますので、これらで味変をするといろいろと楽しめるでしょう。
まとめ
今回は、チーズフォンデュについてお話をしてまいりました。
チーズを溶かすだけのお料理かと思いきや、使うチーズの種類で自分の味を追求できたり、作り方に工夫をすることでいろいろな味を楽しめたりと奥深いものだとご理解いただけたでしょうか。
とはいえ、シンプルなお料理なので簡単に作れますし、大勢で楽しめますのでパーティーなどにもピッタリです。
みんなでワインを飲むときにそのお供として、ぜひチーズフォンデュをお楽しみください。