グラナ・パダーノとは?家庭的で親しみやすい万能チーズ

グラナパダーノ

グラナ・パダーノとは、パルミジャーノ・レッジャーノによく似たチーズなのですが、パルミジャーノに比べると日本での知名度は今ひとつです。

しかし、そのまま食べてもおいしく、いろいろな料理にも使えますので、お家にあると重宝します。しかも、パルミジャーノに比べるとお買い得

今回は、使い勝手がいいおすすめのチーズ、グラナ・パダーノをご紹介させていただきます。

目次

親しみやすいチーズ、グラナ・パダーノについて

パルミジャーノに似ているグラナ・パダーノは、どのようなチーズで、どこでどうやって作られているのでしょうか。まずはグラナパダーノについて説明しておきます。

グラナ・パダーノの基礎知識

グラナ・パダーノはハードタイプに分類され、茶褐色の厚い外皮を持ち、果実味を帯びた華やかな香りとかすかな牛乳の風味、適度な旨味を感じるチーズです。

「グラナ」とは「粒」を意味し、「パダーノ」とはイタリア半島の付け根部分を流れるポー川の流域である「パダーナ平野」を指しています。

レストランで使われることが多いパルミジャーノに対し、グラナ・パダーノは使い勝手とコスパが良いために家庭で使われることが多く、イタリアではどの家庭にも常備されて日常的に親しまれているとのこと。

ただし、日本においてはパルミジャーノほどの知名度がなく、知っている人のほうが少ないかもしれません。

12世紀にイタリアの修道院で牛乳の保存方法として考え出されたようです。かつてはパルミジャーノもグラナ・パダーノと呼ばれていたのですが、製法が違うために別物として扱われるようになりました。

1996年にEUの品質認証システムの一つであるDOP(原産地名称保護)を取得し、DOPの中では一番の生産量を誇っています。

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グラナ・パダーノの産地

グラナパダーノ生産地 地図-

グラナ・パダーノの産地は、以下の北イタリアにある5つの州です。

・ピエモンテ州の全域

・ロンバルディア州の一部

・トレンティーノ・アルト・アディジェ州の一部

・ヴェネト州の一部

・エミリア・ロマーニャ州の一部

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グラナ・パダーノの作り方

①朝夕の2回、絞った牛乳を5~7時間休ませた後、分離した脂肪分を取り除いてから加熱し、乳酸菌と凝乳酵素(レンネット)を加えます

②カード(主な乳タンパク質であるカゼインが凝固したものから乳清(ホエイ)を除いたもの)を細かく切って型に入れます

③加圧して水分を除去したら、型から外して食塩水に漬けます

④食塩水から引き上げた後に乾燥させて、熟成庫に入れて熟成させると完成

グラナ・パダーノ

分類ハードタイプ
産地ピエモンテ州、ロンバルディア州、トレンティーノ・アルト・アディジェ州、ヴェネト州、エミリア・ロマーニャ州
原料牛乳(無殺菌、部分脱脂)
固形分中乳脂肪最低32%
熟成期間最低9か月
DOP取得1996年

パルミジャーノ・レッジャーノとの違い

グラナ・パダーノとパルミジャーノが似ているとはいえ、違うところもいくつかあります。それらについてお話しましょう。

熟成期間

パルミジャーノ・レッジャーノの熟成期間が最低12か月となっているのに比べて、グラナ・パダーノは最低9か月と少し短くなっています。

グラナ・パダーノの熟成は16か月程度のものが一般的なので、24か月以上熟成させたものが多いパルミジャーノと比べると、しっとりした質感で、塩分が控えめなマイルドな味わいをしています。パルミジャーノでは普通に見られる、熟成期間中にできるジャリジャリしたアミノ酸の結晶もほとんどありません。

熟成期間が短いことにより、パルミジャーノと比較して安価に生産できるのです。

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1日の製造回数

グラナ・パダーノは1日2回製造できますが、パルミジャーノは1日に1回と決まっています。

これによりグラナ・パダーノは多く生産でき、お手頃な価格となります。

脂肪分

グラナ・パダーノとパルミジャーノはどちらも牛乳の脂肪分の一部を除去してから作りますが、グラナ・パダーノのほうがより多く取り除きます。

そのため、パルミジャーノに比べると脂肪分が低く、砕けやすいポロポロとした食感になります。

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飼料

グラナ・パダーノの原料となる牛乳を生産する牛に与えるエサは、牧草や干し草、ワラ、サイレージなどです。

サイレージとは青刈りした飼料作物をサイロに詰めて発酵させたものですが、パルミジャーノの原料となる牛乳を産する牛には与えることが禁止されています。

サイロ…穀物や飼料、小麦粉などを一時的に貯蔵しておくための倉庫

発酵調整剤の添加の有無

グラナ・パダーノでは、異常発酵を抑制するための発酵調整剤(リゾチーム)の添加が認められていますが、パルミジャーノでは使用できません。

発酵調整剤を使うことでチーズの生産が安定し、大量に作れますので価格を抑えることができます。

生産地

グラナ・パダーノの生産地域は、パダーナ平野にある30以上の県にまたがりますが、パルミジャーノは5県のみです。

グラナ・パダーノのほうが広いエリアで作られています。

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グラナ・パダーノの味わいの特徴と食べ方

グラナパダーノ

パルミジャーノとの違いは味わいにどのように表れているのでしょうか。特徴を活かした食べ方とともにご紹介してまいります。

まろやかでクセが少ない

グラナ・パダーノは厳しい規定に従って作られており、市販の粉チーズよりも香りが華やかで、牛乳由来の甘味と熟成が生み出す旨味を持った複雑な風味があります。一言で言うとパルミジャーノに似ていますが、比べると熟成期間が短い分、塩気は控えめでマイルドな味わいです。

しっとりした口溶けをしており、ミルクの風味が残る優しいテイストは、料理にたっぷり使うことができます。

クセの少ない味わいはワインにも合わせやすく、ややしっかりめの辛口白ワインや様々なタイプの赤ワインとの相性が良好です。

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バリエーション豊富な食べ方

豊かな風味がありながらも素直な味わいで、しっかりした硬さもあるグラナ・パダーノは、いろいろな楽しみ方ができます。代表的な食べ方をお伝えします。

スライスや砕いて

グラナ・パダーノ本来の味を楽しみたいなら、薄くスライスしたり、かち割り状に砕いたりしてそのまま食べるのがおすすめです。口に広がるミルクの優しい風味と熟成からくる旨味を堪能できます。

スライスしたものを、サラダに添えるのも人気がある食べ方です。

おろして

粉状にしたグラナ・パダーノは、ピザやパスタ、グラタン、リゾットなどにかけて食べるのが一般的です。特にトマトソースとの相性がぴったりです。

パルミジャーノより塩分が控えめなので、たっぷりとかけて召し上がりください。

煮込んで

ソースやシチューなどを作るときに一緒に煮込むと、グラナ・パダーノから旨味が出て絶好の隠し味となります。

外皮の堅いところや乾燥してしまってそのままでは食べづらいものは、料理を作る際に使うといいでしょう。

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まとめ

パルミジャーノの弟分のようなグラナ・パダーノは、日本ではまだまだ陰の存在です。

しかし、そのまま食べて良し、料理に使って良し、しかも安価といいことずくめ。こんなにいいことだらけのチーズですから、街のお店やネットショップで見かけたらぜひ購入してみてください。

チーズを選ぶ楽しみの幅が広がります。

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