あなたは、近頃注目を集めている「スキクイーン」というチーズをご存じですか?
私たちが普段口にするチーズとは異なる特徴を持ち、それでいて“おいしい”ということで評判になっています。しかも、お店で見かけることがほとんどないという珍しさもあって、噂が噂を読んでいる状態。
今回は、謎に包まれた話題のチーズ「スキクイーン」について説明します。食べ方のおすすめや相性の良い飲み物もご紹介しますので、チーズ好きや珍しい食べ物が好きならば最後までお読みください。
「スキクイーン」とはどんなチーズ?
「スキクイーン」とはチーズのブランド名です。山羊乳から作られるチーズの一つで、一般名称は「イェトスト(GJETOST)」といいます。イェト=山羊、オスト=チーズで、「山羊のチーズ」という意味です。さらに見た目から「ブラウンチーズ」とも「ブルノスト(BRUNOST)」とも呼ばれます。「ブルノスト」は「茶色いチーズ」という意味で「イェトスト」とともにノルウェー語です。
では、この「スキクイーン」について詳しく見ていきましょう。
生産国
作っているのは、北欧にある国「ノルウェー」です。
この「スキクイーン」を含むイェトストはノルウェーではメジャーで、ほとんどのスーパーなどで手に入ります。どの家庭の冷蔵庫にも入っているのが当たり前らしく、国民食といえるものです。
朝食にあまり手間をかけないノルウェーでは、多くはパンに乗せて朝に食べられています。
なぜ「スキクイーン」のような山羊乳のチーズがノルウェーでは一般的かというと、ノルウェーの国土は平地が少なく斜面が多いため、牛よりも山羊のほうが飼育に適しているから。それで、チーズも山羊乳から作られたものが、ポピュラーとなっています。
製法
「スキクイーン」は山羊乳から作られると書きましたが、正確には山羊乳のホエイ(乳清)が主原料です。ホエイとは、乳からたんぱく質や乳脂肪分などを除いた液体のことです。
一般的なチーズは、乳に乳酸菌や酵素を入れて固形分と液体に分けて固形分から作られますが、このときに残った液体がホエイです。私たちには、ヨーグルトの表面に浮いている水分のほうが、馴染みがあるでしょう。
「スキクイーン」は、この山羊乳のホエイに生クリームなどを加えて煮詰めて作ります。このときに、乳に含まれる糖とアミノ酸が加熱により褐色物質を作り(メイラード反応)チーズ自体も茶色になります。
ちなみに、これらの製造過程で発酵は一切させませんので、「スキクイーン」は厳密にはチーズに分類されず「乳又は乳製品を主要原料とする食品」となります。これは、乳清を加熱して作るリコッタチーズも同様です。
見た目
製品として売られているときの「スキクイーン」は、赤いパッケージにピッチリと包まれています。包装を残したままでは扱いにくいかもしれませんので、開封した後はキッチンペーパーで覆ってからラップで包んで保存するとよいでしょう。
「スキクイーン」が話題として取り上げられる際に、真っ先に指摘されるのがチーズ本体の色です。多くの人が「キャラメルみたい」と感じます。チーズが立方体をしているせいもあるのでしょうが、薄茶色の見た目はたしかにキャラメルに近いものです。
先程「スキクイーン」は煮詰めて作り、その時に茶色になるとお伝えしたように、チーズ全体がこの色をしています。スモークチーズのように表面だけが茶色いのだろうと想像してカットした人は、この点にも驚くでしょう。
香り・味
まず「スキクイーン」の香りについては、人により感じ方にずいぶんと差があるようです。山羊乳や山羊肉に抵抗がない人は、見た目同様にキャラメルのような香りがするといいます。中には、山羊乳独特の爽やかな青草の香りやフルーティーさを感じる人もいるでしょう。
しかし、山羊乳や山羊肉が苦手な人には、山羊特有のクセのある匂いがするようです。それは、ジンギスカンなどで感じるラム肉の料理と共通する匂いとのことです。
味は、キャラメルほどではないけれども甘さがあり、塩気も少々感じます。また、かすかな苦味も特徴です。甘さに関しては糖分は加えておらず、ホエイにもともと含まれている乳糖が、煮詰めることで凝縮されています。
このように、「スキクイーン」には乳糖が多く含まれていますので、乳糖不耐症の人(牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする人)は、食べるときに気をつけたほうがよいでしょう。
入手方法
「スキクイーン」をはじめとするイェトストは、ノルウェーではどこでも手に入るほど普及しているチーズですが、日本ではまだまだ広くは浸透していません。販売しているのは一部の店舗に限られ、近所のスーパーなどで見かけることはまずないでしょう。
ということで、手に入れるのであれば通販で購入するのが確実です。
「スキクイーン」のおすすめの食べ方
見た目だけでなく、香りや味も独特な「スキクイーン」ですが、どのような食べ方をするとよいのでしょうか?
もちろん、特に何もせず、そのまま食べても十分においしいので、まずはそのまま召し上がってみてください。しかし、他にも様々な食べ方をされていますので、ノルウェーでの一般的な食べ方を中心に、「スキクイーン」独特の味わいを活かした食べ方を紹介します。
もし「スキクイーン」を召し上がる際には、これらの食べ方にもトライしてみてください。
クラッカーに乗せる
最もシンプルな食べ方です。
クラッカーの上に薄くスライスした「スキクイーン」を乗せるだけなのですが、これだけでは物足りなさを感じるかもしれません。
そんなときは、ハチミツやメイプルシロップ、ブラックペッパーなどをかけて食べると、「スキクイーン」の違ったおいしさを引き出すことができます。
それぞれ単体でかけるだけでも十分味の変化を楽しめますが、「ハチミツとブラックペッパー」や「メイプルシロップとブラックペッパー」の組み合わせにすると、さらに味に立体感が出てより魅力的に感じるはずです。
オープンサンドで
ノルウェーで最もポピュラーな食べ方です。
最もシンプルな食べ方だと、パンの上にスライスした「スキクイーン」を乗せるだけです。こうすると、それぞれの食材の味がはっきりとわかります。パンはお好みのものでよいのですが、ライ麦パンや雑穀パンのような風味が強いもののほうが、「スキクイーン」の味わいとのバランスがとれて相性が良いようです。
オープンサンドには、北欧では一般的なコケモモのジャムがよく使われますが、コケモモではなくともいろいろなジャムとの組み合わせが楽しめます。他にも、ドライアプリコットをはじめとするドライフルーツも定番のトッピングとなっています。
また本場ノルウェーでは、パンの代わりにワッフルと一緒に食べられることも多いようです。
フルーツと一緒に
オープンサンドではジャムやドライフルーツが使われますが、生のフルーツと合わせる食べ方も人気があります。たとえば、バナナはとても相性のよいフルーツの一つです。
他にも相性の良いフルーツがあります。「スキクイーン」のキャラメルのような味わいはチョコレートと共通するところがありますので、イチゴをはじめとするベリー系のフルーツやオレンジなどともおいしさを引き出し合う関係といえるでしょう。
お料理にも使える
「スキクイーン」のコクのある味やかすかな苦味は、料理に使うと味を深めます。
たとえば、肉料理のソースに少量加えることで、ソースの味のボリューム感や深みが出てきます。他にも煮込み料理の隠し味に使うと、味わいのグレードが見違えるようになるでしょう。
焼くとまろやかに
先ほど紹介したパンの上に「スキクイーン」を乗せる食べ方は、焼かずにそのまま食べるものでしたが、これをオーブンやトースターなどで焼くことで味の表情が変わります。他のチーズのようにとろけるということはありませんが、加熱することでまろやかさとコクが出てきますので、食事としてまたはお酒のおともに召し上がるのに向いています。
また、焼くことで山羊乳独特のクセが穏やかになりますので、山羊乳が苦手な方は焼いたものからチャレンジして慣れていくとよいかもしれません。
他にも、りんごと一緒に、あるいはバナナと一緒に焼いてデザートにするのもおすすめです。
「スキクイーン」と相性の良い飲み物
おいしいチーズがあれば、相性の良い飲み物も一緒に欲しくなるでしょう。TPOに合わせられるよう、ノンアルコール、アルコールのどちらもおすすめをご紹介しておきます。
ノンアルコール飲料
なんといっても、コーヒーとの相性が格別です。コーヒーの焙煎香と苦味が、「スキクイーン」のほのかな甘さとコクと合わさることで新たなおいしさを引き出します。
コーヒーが苦手な人には、紅茶でも組み合わせの妙を楽しめます。「スキクイーン」の個性は、紅茶の持つ華やかな香りと柔らかな渋みとも、絶妙なカップリングを示します。
アルコール飲料
「スキクイーン」と合わせるならば、まずは赤ワインは外せないでしょう。ライトボディからフルボディまで、様々なタイプと合わせられます。ただし、「スキクイーン」の良さを最大限に引き出したいのなら、ベリー系の味わいがしっかりするものや樽香豊かなリッチなものがより良いでしょう。
他には、ブランデーやウイスキー、ラムなどで樽のニュアンスがしっかり感じられるものも、相性はバッチリです。「スキクイーン」の濃厚さはアルコール度数の高いお酒をしっかり受け止められます。さらに、「スキクイーン」のキャラメルのような味わいが、樽の香りの中にあるカラメルのようなフレーバーとピタリと合います。
上記以外にも、フルーティーな味わいを持つビールやシードルなど「スキクイーン」との相性が良いお酒はいろいろあります。気になるものがあれば、とりあえず合わせてみても面白いのではないでしょうか。
まとめ
今回は、最近注目を集めているチーズの「スキクイーン」をご紹介しました。
どういったチーズなのか、どんな食べ方があるのか、飲み物は何と合わせるといいのか、といったことをお伝えしました。
もしかしたら近くに売っているお店はないかもしれませんが、通販であれば簡単に手に入ります。この記事を読んで興味が湧いたのであれば、ぜひ購入していろいろな食べ方やお酒との組み合わせを楽しんでください。