家飲み需要の増加に伴い、ワインをご自宅用にまとめ買いされるという方も増えているのではないでしょうか。
特に、飲料は重くて持ち帰りも大変なため、インターネット通販で購入される方も多いですよね。
では、インターネットやワインショップで購入したそのワイン、どれくらいの温度帯が一番おいしく飲めるか知っていますか?
ワインは、ぶどう由来の果実味と醸造由来の酵母の香り、さらに熟成による複雑な味わいや、その土地から来る独特の風味など様々な要素が絡み合った非常にデリケートな飲み物です。
そして、そのワインが持つ要素を一番美味しく引き出すために行うのが飲み手の「温度調節」なんです。
「白ワインは冷やして、赤ワインは常温で」という認識の方も多いと思いますが、せっかく飲むなら美味しい飲み頃温度でいただきたいですよね!
この記事では、ワインの種類別 美味しく飲める最適な温度をご紹介していきたいと思います。
ワインの温度による香りと味わいの変化とは?
ワインの種類別の飲み頃温度をご紹介する前に、まずは基本的な「温度×香り/味わい」の関係をお伝えしていきます。
どんなワインにも共通しているポイントですので、ワイン好きの方はぜひ覚えておいてくださいね!
温度を下げる
温度を下げると、ワインはフレッシュな印象になります。
フルーティーな香りや酸味が引き出され、ミネラル感も感じられるため、スッキリとした余韻とシャープなキレが際立ちます。
また、ワインを冷やすと苦みを強く感じやすいという特徴があります。
温度を上げる
ワインの温度を上げると酸味や苦みはまろやかになり、果実由来の甘さを感じやすくなります。
ワインを冷やしたときよりも香りが広がりふくよかな印象になるため、香りの要素が多いタイプのワインは、少し温度を上げたほうが美味しくいただけます。
香りと味わいが複雑な赤ワインが、白ワインよりも高い温度で飲まれるのは、これが理由です。
ワインの種類別飲み頃温度
それでは、これらの特徴をふまえて、ワインの種類別の飲み頃温度をご紹介していきますね。
白ワイン
一口に白ワインといっても、スッキリ飲みたい辛口系から樽熟成によるふくよかな味わいを楽しみたいボリューミーなタイプ、デザートワインとして愛される甘口系まで様々ですよね。
それぞれのワインの特徴によって飲み頃の温度も変わってきますので、ワインの個性に合わせて温度調節をしてみてくださいね。
辛口白ワイン
ミネラル感が豊富なシャープな白ワインや、ソアーヴェのようにお料理に合わせてすっきり楽しみたい辛口白ワインは8℃~10℃がおすすめです。
冷やすことで、ワインの骨格でもある酸味が際立ちシャープな印象になるだけでなく、果実由来のほのかな甘みを引き出すことができます。
また、辛口白ワインには苦みの要素が少ないため、冷やすことによるデメリットはほとんどありません。
樽熟成白ワイン
樽由来の複雑な香りと熟成香が特徴の樽熟成白ワインは、辛口よりも少し温度を上げた11℃~14℃が飲み頃です。
冷やしすぎてしまうと香りを感じづらく、せっかくの複雑なコクや旨みも楽しめませんので、注意しましょう。
また、少し温度を上げることで、熟成による苦みもまろやかになります。
甘口ワイン
デザートワインとしても、ワイン単体でも楽しめる甘口ワインは、しっかり冷やした6℃~8℃が飲み頃です。
甘口ワインはかなり糖度が高いため、しっかり冷やさないと甘さがくどく感じ、全体的にぼやけた印象になってしまいます。
また、冷やすことで甘みと酸味のバランスが良くなり、ワイン本来の苦みも引き出されるため、飲み疲れしない上品な甘みを楽しむことができます。
赤ワイン
ぶどうの皮や種を一緒に漬け込み醸造している赤ワインは、白ワインと比べて“タンニン”と呼ばれる渋み成分が強いのが特徴です。
冷やしすぎることでタンニンが強調され、苦みが強い印象になってしまいますので、飲み頃温度よりも冷やさないように気を付けてみてくださいね。
赤ワインは大まかに“フルボディ”、“ミディアムボディ”、“ライトボディ”に分けられます。
ワイン売り場やワイン通販サイトの味わいチャートに記載がある場合が多いので、ぜひあわせてチェックしてみてください。
フルボディ
ボルドーやカリフォルニアのような、いわゆる“インパクトが強い”タイプの赤ワインは16℃~18℃が飲み頃です。
フルボディは、冷やしすぎてしまうと一番苦み・渋みが強調されやすいタイプですので、冷蔵庫に入れている場合は飲み始める1時間ほど前に冷蔵庫から出しておくのがおすすめです。
ミディアムボディ
エレガントな酸味と果実味のバランスが良いワインが多いミディアムボディは、14℃~16℃が飲み頃です。
ブルゴーニュを始めとしたピノノワール品種のワインは、ミディアムボディに分類されることが多いですね。
香りと味わいが繊細で温度調節も少し気を遣いますが、その分飲み頃温度で飲んだ時の華やかな香りと奥深い味わいは抜群ですので、少し面倒かもしれませんが氷水と温度計を使って、適温に調節してみてください。
ライトボディ
ボジョレーヌーボーのような軽やかでチャーミングなワインは、12℃前後の少し低めの温度が飲み頃です。
ライトボディのワインは、温度が高いと味に締まりが無くなり、ボテッとした印象になりやすいので、抜栓後も氷水で冷やしながら適温をキープすることがポイントです。
冷やすことで、チャーミングな味わいの中にもシャープな余韻が残り、お料理とも合わせやすくなります。
ロゼワイン
ロゼワインは、淡い桜色のようなものから、ストロベリージュースのような濃い色合いのものまでさまざまなタイプがありますが、色が淡いものは低めの温度、色が濃いものは少し高めの温度で飲むのがポイントです。
ロゼワイン全体では7℃~14℃が飲み頃と言えるでしょう。
ロゼワインには、白ワインのフルーティーな果実味と、赤ワインの複雑なタンニンの要素が両方含まれていますので、飲み頃の温度は白ワインと赤ワインの中間と覚えておくとわかりやすいと思います。
日本ではまだまだ出番の少ないロゼワインですが、本場フランスではロゼワインが消費量1位になるほど人気の種類です。
サラダ、魚料理、肉料理、パスタとどんなお料理にも合わせやすく、複雑味があるのに飲み疲れしないという万能タイプですので、ぜひご自宅でも積極的に取り入れてみてくださいね。
スパークリングワイン
シャンパンを始めとするスパークリングワインは、乾杯酒としても選ばれやすいワインですね。
同じ発砲系のアルコール飲料であるビールからも連想されるとおり、しっかり冷やして飲むのがおすすめです。
飲み頃の温度は5~8℃を目安にしてみてください。
スパークリングワインは通常の非発泡性ワインよりもボトルが厚く、しっかり冷えるまで時間がかかりますので、早めに準備しておくことがポイントです。
スパークリングワインの場合は、適温でないと美味しく飲めないだけでなく、抜栓の際に泡が吹き出してしまいますので、しっかり冷やすと同時に瓶内で泡を落ち着かせてから抜栓してくださいね。
適温のスパークリングワインは泡持ちも良いため、抜栓後もゆっくり楽しめますよ。
スパークリングワインの中でも、味わいが複雑で香りが華やかなシャンパンは、10℃前後で大きめのグラスに注いでも美味しくいただけます。
大きなグラスを使うことで、瓶内二次発酵による酵母の香りや、熟成香を余すことなく堪能できます。
ワインのタイプ別飲む適温表
白ワイン | 赤ワイン | ロゼワイン | スパークリングワイン |
辛口:8℃~10℃ | ライトボディ:12℃前後 | 辛口:10℃~12℃ | 辛口:8℃~10℃ |
樽熟成白:11℃~14℃ | ミディアムボディ:14℃~16℃ | 甘口:8℃前後 | |
甘口:6℃~8℃ | フルボディ:16℃~18℃ |
ワインの冷やし方
ワインの種類別の飲み頃温度がわかったところで、実際にワインをご自宅で楽しむ場合にはどうやって温度調節をすればいいのか、目安がわかりづらいですよね。
そこで、750mlのフルボトルを一般的に常温と言われる25℃から飲み頃の温度まで、冷蔵庫で冷やす場合と氷水で冷やす場合のそれぞれの所要時間をお伝えしていきます。
氷水で冷やす場合は、ボトル内のワインの液面までしっかりと氷水に浸かるように注意してくださいね。
専用のワインクーラーが無くても、大きめの鍋やボウルで代用できます。
◎25℃から16℃に冷やす場合
・冷蔵庫 約40分
・氷水 約6分
◎25℃から10℃に冷やす場合
・冷蔵庫 約90分
・氷水 約15分
◎スパークリング瓶で25℃から8℃に冷やす場合
・冷蔵庫 約3時間
・氷水 約30分
一番簡単でワインの保管にも適しているのは専用のワインセラーでの温度管理ですが、ご自宅にワインセラーをお持ちの方はなかなかいらっしゃらないと思いますので、参考にしてみてください。
まとめ
いかがでしたか?
ワインの個性に合わせて温度調節することで、ワイン本来が持つ香りや味わいを引き出すことができ、知らずに飲むより何倍もワインを美味しく味わうことができます。
氷水を使えば30分足らずで飲み頃温度に調節できますので、ぜひご自宅でもチャレンジしてみてくださいね!
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