「カベルネソーヴィニヨン」といえば、赤ワイン用ブドウ品種の代表格。
ワインに詳しくない人でも、名前くらいは知っているというほど有名です。
ワイン好きならば、もちろん知らない人はおらず、その特徴ある香りや深みのある味わいにハマっている人も多いでしょう。
今回は、このカベルネソーヴィニヨンの特徴について解説してまいります。
果実や栽培地の特徴に加え、世界に広がる産地やカベルネソーヴィニヨンから作られるワインの香り・味わい、おすすめの飲み方や合わせる料理を紹介します。 カベルネソーヴィニヨンをもっと知りたいとお思いでしたら、最後までご覧ください。
カベルネソーヴィニヨンの特徴
原産地 | フランス・ボルドー地方 |
果実の特徴 | 小粒で皮が厚く、甘み・酸味が多くあり、タンニンや色素が豊富に含まれる |
栽培条件 | 温暖で日照時間が長く、乾燥していること。水はけのよい石灰岩質。寒暖差があるほうがよい |
ワインスタイル | 濃い色合い、渋みや酸味が強く、熟成により複雑な香りと味わいを持つことが多い |
香り | カシス、ブラックベリー、ブルーベリー、ハーブ、スパイスなどの香りが特徴的 |
味わい | フルボディで、渋みや酸味がしっかりした濃厚かつ複雑な味わい。長期熟成により滑らかな口当たりになる |
適した温度・グラス | 16~18℃。ボルドー型 |
相性の良い料理 | 牛肉や仔羊肉のステーキ、シチューなどの濃厚な煮込み料理、ブルーチーズや長期熟成ハードチーズといったうま味のしっかりしたチーズなど |
カベルネソーヴィニヨンの品種の特徴
多くのワイン愛好家にとても人気があるカベルネソーヴィニヨン。
このブドウ品種の果実の特徴や育つ土地の条件について理解することで、より一層その魅力を深く感じることができます。
ここでは、カベルネソーヴィニヨンの品種の特徴について解説します。
カベルネソーヴィニヨンの果実の特徴
カベルネソーヴィニヨンはフランス・ボルドー地方で生まれましたが、「カベルネ・フラン」と「ソーヴィニョン・ブラン」が交配してできたものとされています。
果実の特徴は、実は比較的小さく厚い皮を持っていることです。
果皮は非常に濃い色をしていて、黒みを帯びており、果肉の甘みは強く、酸味も多く残っています。
豊富なタンニンや色素、そして香り成分も含まれているため、しっかりしたワインを作るのに非常に適している品種といえるでしょう。
カベルネソーヴィニヨンが育つ土地の特徴
ボルドー地方が原産のカベルネソーヴィニヨンですが、今では世界中で広く栽培されていて、栽培面積ではすべてのワイン用品種の中で1位となっています。
理由の一つが、いろいろな気候への適応力が高く、病気や害虫にも強いことですが、この品種がよく育つ環境には、いくつかの特徴があります。
まず、カベルネソーヴィニヨンが好むのは、温暖な気候です。
特に、夏の日中の気温が高く、夜間になると涼しい地域が適しています。
適度な日照量が必要で、風通しの良い場所で栽培されることが多く、乾燥していることも、理想的な栽培条件に含まれます。
適した土壌は、水はけの良い石灰岩質です。
さらに、カベルネソーヴィニヨンは、標高の高い場所での栽培にも適しています。
以上のような特徴を持つ土地でカベルネソーヴィニヨンが栽培されると、風味や味わいがより豊かになり、生まれるワインは果実味が豊かで、タンニンが強く、長期熟成にも耐えられるものとなります。
カベルネソーヴィニヨンの産地
ボルドー地方原産のカベルネソーヴィニヨンが、今では他の国でも多く栽培されていることには触れましたが、それぞれの産地で異なる特徴が見られます。
カベルネソーヴィニヨンが栽培される主な国について紹介します。
フランス
フランスといえば、ワイン作りが盛んな国の一つですが、カベルネソーヴィニヨンの産地としても有名です。
特に、ボルドー地方での生産が有名で、多くの高級ワインがカベルネソーヴィニヨンから生産されています。
この地では、メルローなど他の品種も栽培されており、個性の違いを補いあうようにブレンドされたワインが多く作られています。
また、フランスではボルドー地方以外にも、ロワール地方やラングドック地方などでカベルネソーヴィニヨンが栽培されていますが、これらの地方ではボルドーよりもマイルドなワインになるのが通常といえるでしょう。
また、ボルドーではメルローなどとブレンドされるのが一般的でしたが、これらの地方ではカベルネソーヴィニヨン100%で作られることが多くあります。
フランスのカベルネソーヴィニヨンは、一般的にタンニンが豊富で、フルボディで深い味わいが特徴です。
また、カシスやブルーベリーなどの果実の香りに、ハーブやスパイスの風味も加わります。
中でも、ボルドー地方のカベルネソーヴィニヨンは、複雑な風味と高い品質で知られています。
メルローとカベルネソーヴィニヨンの違いについて、詳しくはこちらをご覧ください。
アメリカ
アメリカといえば、カリフォルニア州がワイン生産の中心地です。
このカリフォルニアは、カベルネソーヴィニヨンが最も栽培される地域の一つであり、ボルドーのカベルネソーヴィニヨンとは異なる特徴を持ったワインが生産されています。
カリフォルニアのカベルネソーヴィニヨンは、アルコール度数が高く、果実味やタンニンが豊富な濃厚な味わいが特徴的です。
フルーティーでありながら、オーク樽で熟成させることでバニラやココアの香りが感じられるものも多くあります。
若いうちはタンニンが強すぎると感じることもありますが、熟成期間を長くすることで、タンニンが柔らかくなり、豊かな風味が広がります。
また、カリフォルニアのカベルネソーヴィニヨンで忘れてはいけないのが、1976年の「パリテイスティング」の話でしょう。
これは、当時評価の低かったカリフォルニアのカベルネソーヴィニヨンワインがブラインドテイスティングでフランスワインを破り、一躍カリフォルニアの名声を高めた出来事です。
ワシントン州も、カベルネソーヴィニヨンの栽培に適した地域のひとつとされ、カリフォルニアと比較すると、酸味が強く、タンニンがやや少なめのスムーズな味わいが特徴です。
ボルドーのカベルネソーヴィニヨンに近い特徴を持ち、バランスの良いワインが生産されています。
イタリア
イタリアは、フランスと並ぶワイン生産国として世界的に有名な国です。
かつてのイタリアは、その地で昔から栽培されているブドウ品種以外を使うことはほとんどありませんでした。
それが今では、カベルネソーヴィニヨンも栽培され、多くのおいしいワインが生産されています。
主にトスカーナ地方で栽培されており、「スーパータスカン」と呼ばれる高品質のワインがよく知られています。
標高が高く、土壌が石灰質であるなど、温暖な気候と理想的な土地条件が整っていることがカベルネソーヴィニヨンに向いているようです。
イタリアのカベルネソーヴィニヨンワインは、フランスのものよりも果実味が強く、タンニンの少ない、やわらかい口当たりが特徴です。
また、バニラやスパイスのような香りが感じられることも多くあります。
スーパータスカンについて、詳しくはこちらをご覧ください。
チリ
チリは南米に位置するワイン産地であり、カベルネソーヴィニヨンの栽培に適した気候と土壌を持っています。
特に中央部のマイポ・ヴァレーは、カベルネソーヴィニヨンの生産地として有名であり、チリのワイン産業の中核を占める地域で、地中海性気候と豊かな栄養分を含む粘土質の土壌が特徴です。
この地域で栽培されるカベルネソーヴィニヨンは、深い色合いで、黒い果実の香りやタンニンの強さが特徴的です。
また、スパイスやチョコレートのようなニュアンスも感じられます。
チリのカベルネソーヴィニヨンは、値段に比べてクオリティが高く、「チリカベ」という愛称で日本でも親しまれています。
カベルネソーヴィニヨンワインの香り・味わいなどの特徴
カベルネソーヴィニヨンのワインは、産地や作り方、熟成度合いなどによって香りや味わいが変化します。
一般的には、黒い果実の香りが特徴的で、カシスやブラックベリー、ブルーベリーなどのアロマが感じられるでしょう。
加えて、ピーマンやハーブなどの緑っぽい香りも持ちますが、冷涼地ほどこの特徴が表れやすいとされています。
また、スパイスやトーストのニュアンスもカベルネソーヴィニヨンを特徴づけるものといえるでしょう。
若いうちはフルーティーでタンニンの力強さもあるためパワフルさが感じられるものの、熟成によって味わいは複雑になり、柔らかくなっていきます。
熟成期間が十分にあるワインには、革やタバコのようなニュアンスが加わり、さらに深みのある味わいになっていきます。
カベルネソーヴィニヨンの飲み方のおすすめ
カベルネソーヴィニヨンは、タンニンや酸味が豊富で深い味わいが特徴的なワインです。
そのため、飲む際には適切な温度にし、適切なグラスを選ぶことが重要になります。
まず、カベルネソーヴィニヨンを飲む際の適切な温度は、16~18℃程度です。
この温度帯で飲むと、タンニンや酸味がまろやかに感じられます。
また、カベルネソーヴィニヨンは、ボルドー型といわれる大振りなグラスに注ぐとよいでしょう。
中央が膨らみ口がすぼまっているチューリップのような形なので、ワインの香りや味わいをより豊かに感じることができます。
しっかりとしたボディのカベルネソーヴィニヨンは熟成によって味わいが変化するため、古いヴィンテージのものを楽しむのも良いでしょう。
また、空気に触れることで味わいが少しずつ変化するのも満喫できますので、時間をかけてゆっくり飲むのに適しています。
赤ワインの適温について、詳しくはこちらをご覧ください。
赤ワイングラスについて、詳しくはこちらをご覧ください。
カベルネソーヴィニヨンに合う料理
カベルネソーヴィニヨンは、タンニンの渋みや酸味の強い赤ワインで、その重厚な味わいから肉料理などに合うとされています。
ここでは、カベルネソーヴィニヨンに合うおすすめの料理を紹介します。
ステーキ
カベルネソーヴィニヨンは、しっかりとした肉の旨味との相性が抜群です。
特に牛肉や仔羊肉の赤身と合わせるのが定番です。
ただし、シンプルな料理の場合は、ワインもそれに合わせて、複雑過ぎないものにするとよいでしょう。
煮込み料理
シチューなどの肉を煮込んだ料理も、カベルネソーヴィニヨンに合う料理の代表です。
脂分を含んだ濃厚な味わいをカベルネソーヴィニヨンの渋みと酸味が中和させ、しつこさを消しておいしく食べ続けられます。
うま味の凝縮された煮込み料理には、しっかりしたカベルネソーヴィニヨンがピッタリです。
チーズ
カベルネソーヴィニヨンはふくよかな味わいが特徴なので、濃厚なチーズとの相性が良いとされています。
例えば、ロックフォールなどのブルーチーズや、長期熟成させたパルミジャーノ・レッジャーノなどのハードチーズがおすすめです。
とはいえ、チーズなら全般的によく合うため、いろいろな組み合わせをしてみると楽しいでしょう。
まとめ
今回は、カベルネソーヴィニヨンの特徴についてお話ししてまいりました。
フルボディの赤ワインといえば「カベルネソーヴィニヨン」というくらいに、パワフルなブドウ品種ですが、環境への適応力も高いため世界の各地で栽培され、特徴も異なっています。
ただし、全般的にしっかりしていることは共通なため、それに合わせた飲み方をし、合う料理を選ぶとより楽しめるでしょう。
ワイン好きであれば何度も飲む機会がある品種のカベルネソーヴィニヨン。 今回を機に、さらに深くお付き合いいただけると幸いです。