白ワインと刺身の相性は!?「魚には白ワイン」って、刺身でも合う?合わない?

刺身

おいしいワインを飲むときは、おいしい料理と合わせたくなりますよね。

ワインと料理の組み合わせのことをフランスでは「マリアージュ(結婚)」といいますが、今回はこのマリアージュについて考えてみましょう。

相性が良いマリアージュの例として一番に挙げられるのが「魚料理には白ワイン、肉料理には赤ワイン」でしょう。

でもこれって、随分と大雑把なくくりですよね。

魚料理といっても、魚の種類だけでも白身、赤身、青魚などありますし、魚以外のエビ・カニやタコ・イカ、貝類など様々です。

もちろん調理法だって数え切れないくらいあります。

肉料理にしても、肉の種類と調理法の組み合わせは数え切れません。

ワインだって、白ワインや赤ワイン、ロゼワインなどに分かれ、さらにそれぞれに味わいの方向性の違いがあり、考えるとキリがありません。

そこで今回は、ワインも料理も絞って見ていきましょう。

取り上げるのは、白ワインと魚料理です。

ただ、これでもまだ範囲が広いので、魚料理は刺身に限定してみます。

刺身にはどんな白ワインが合うのか?はたまた合わないのか?

刺身に白ワインを合わせようと思っているなら、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

目次

なぜ「魚料理には白ワイン」といわれるのか?相性はどうなの?

白ワインと魚

料理とワインのマリアージュを語るとき、セオリーの中でも最初に出てくるのがこの「魚料理には白ワイン」という言葉でしょう。

では、どうして魚料理と白ワインは合うのでしょうか。

魚料理と白ワインは淡白な味同士で釣り合うから

魚料理は肉料理に比べるとさっぱりして軽い味わいをしていますので、赤ワインよりも味わいの軽やかな白ワインのほうが、相性が良いのは感覚的にわかりやすいですよね。

一般的な白ワインは、ブドウを絞って果汁だけを醸造します。

それに対し、赤ワインは果汁だけでなく種子や果皮なども混ざったまま醸造しますので、種子や果皮に含まれる成分がワインに溶け込み、複雑かつ濃い味わいになります。

特に赤ワインに含まれる渋み成分のタンニンは、繊細な味をわかりにくくしてしまうため、多くの魚料理には白ワインのほうが合うのです。

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白ワインの酸味が魚の生臭さを消すから

カキとレモンと白ワイン

ものにより差はありますが、魚は生臭さが出やすい食材です。

その生臭さを消すのに、柑橘類の果汁が使われるのはご存知でしょう。

たとえば、生ガキにレモンを絞りかけると、カキ特有の臭みが消えて食べやすくなります。

これは、生臭みの原因となる成分の「トリメチルアミン」などがアルカリ性であり、そこに酸性である柑橘類の果汁をかけると中和され、臭わなくなるからです。

この柑橘類の果汁の代わりになるのが、爽やかな酸味を持つ白ワインです。

爽やかな白ワインには、柑橘類の果汁と同じクエン酸が含まれていますので、魚料理の生臭さを消してくれます。

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白ワインと刺身が合わないこともある

魚料理には、白ワインが合うというのはわかっていただけたかと思います。

でも、刺身でも合うのでしょうか。

刺身は、魚料理の中でも生臭さが目立ちやすい食べ方です。

というのも、魚の生臭み成分は加熱することである程度減るのですが、刺身は加熱しないのでこれらの成分が残っているからです。

実際、多くの人が白ワインと刺身は合わないと発言しているのを耳にします。

これは、どういうことなのでしょうか?

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原因は別の匂い成分

実は、白ワインと刺身を合わせたときに出てくる生臭さというのは、先ほど紹介した「トリメチルアミン」などとは別のものです。

では、何かというと、ワインに含まれている鉄分と魚に含まれている脂肪酸が反応して生まれる「(E,Z)-2,4-ヘプタジエナール」などの成分だったのです。

ですから、刺身だけを食べても全然生臭くないのに、ワインを飲んだ瞬間に一気に生臭さが口中に広がるのです。

白ワインと刺身は合わないと言っている人は、この生臭さが発生する白ワインと刺身の組み合わせをしてしまったのだと思います。

白ワインと刺身、それぞれの匂いの発生源

白ワインに含まれる鉄分と刺身に含まれる脂肪酸が出会うと生臭さが発生すると述べましたが、それぞれの成分についてもう少し詳しく見てみましょう。

白ワインの鉄分について

すべてのワインが鉄分を含んでいるわけではありません。

では、どうして鉄分を含むワインがあるのでしょうか?

大きな理由は3つあるといわれています。

まずは土壌中の鉄分が根から吸い上げられてブドウ果汁中に蓄積される場合です。

他にも、風などで舞った土埃がブドウの果皮に付着し、土に含まれていた鉄分がワインを醸造する際に果皮からワイン中に入り込むパターンもあります。

あともう一つ、ワインを醸造する際に使用される鉄製の器具類からワインに鉄分が溶け出すこともあるそうです。

魚の脂肪酸について

魚にはDHAやEPAという成分が含まれているのはご存知でしょう。

このDHAやEPAが脂肪酸であり、含まれる量は魚の種類によって変わります。

脂肪酸が酸化して過酸化脂質となり、鉄分と結びつくことで生臭さの原因物質が発生します。

それが先ほど紹介した「(E,Z)-2,4-ヘプタジエナール」などの成分です。

ですから、脂肪酸が多い魚ほど生臭さが出やすいということになります。

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ワインと刺身のおすすめのマリアージュ

刺身

ワインと刺身を合わせると生臭みが出ることがあるとお伝えしましたが、多くの場合はおいしく食べられます。

ただし、ワインと刺身の特徴を知った上で組み合わせることが重要になってきますので、相性の良いマリアージュにはどのようなものがあるかをお伝えしておきます。

実は刺身と合うのは白ワインだけではありませんので、白ワイン以外もおすすめさせていただきます。

白身の刺身に合うワイン

白身の魚は脂肪酸が少ないので、ワインと合わせて生臭みが出ることは少ないです。

ただし、味が淡白なので合わせるワインは白ワインがよいでしょう。

特におすすめしたいのが、爽やかな酸味を持った白ワインです。

すでに述べましたが、白ワインのシャープな酸味は柑橘類の代わりになります。

淡白な白身魚の繊細な味わいを殺すこともありませんので、白身の刺身には多くの酸を持ち、かつシャープな酸味の白ワインを合わせてください。

今回は、白身の刺身にバッチリ合う、シャープな酸味が特徴の白ワインを紹介します。

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赤身の刺身に合うワイン

マグロ

マグロなどの赤身の魚は「ミオグロビン」という色素成分のおかげで赤いのですが、ミオグロビンに鉄っぽい匂いがあり、白ワインとはあまり合わせやすいとはいえません。

そこで、おすすめしたいのが、渋みが少なく軽い味わいの赤ワインです。

品種でいうと、「ピノ・ノワール」や「ガメイ」を使用したものです。

これらは、刺身の中では濃い味わいの赤身、特に醤油をつけて食べる際にも負けません。

それでいながら、刺身のおいしさを消してしまうほどの渋みもありませんので、赤身の刺身にぴったりです。

ここでは、「ピノ・ノワール」で作ったものをおすすめします。

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青魚の刺身に合うワイン

青魚

サバやアジ、イワシ、サンマなどの青魚も脂肪酸が多い魚です。

青魚にはDHAやEPAが多く含まれると聞いたことがあると思いますが、先ほども述べたとおりDHAやEPAは脂肪酸の一種です。

ですから、合わせるワインは、できるだけ鉄分が少ないものが望ましいです。

とはいっても、ワインのラベルに鉄分の量など書いてありません。

どうしたらいいのでしょうか?

実はある種のワインには、鉄分が少ないことがわかっているのです。

それを2種類ほど説明します。

1つ目が、国産白ワインです。

ワインに鉄分が含まれる理由の一つが、土壌中の鉄分が土埃としてブドウの果皮に付着することでした。

しかし日本では、棚仕立てといって、ブドウを地面から離して実らせる栽培法が多く用いられます。

そのため土埃が付着しづらく、鉄分が少ないワインができるのです。

和食には日本で作ったワインが合うとよく言われますが、このような理由からだったのですね。

国産白ワインの中では、「甲州」という品種から作られたものをおすすめします。

甲州はグレープフルーツのような香りを持っているので、魚と合わせるのにぴったりです。

もう1種類が「シュール・リー」という製法で作られた白ワインです。

この白ワインの特徴は、熟成過程で長く「酵母」と接しているという点です。

「シュール・リー」とは、「オリの上」という意味なのですが、発酵が終わった後にワインとオリ(酵母)を分けずに熟成させます。

すると、酵母が分解されて酵母中のアミノ酸がワインに溶け込み味に変化を与えます。

本来は味わい向上のために、このようにオリを残していたのですが、実はここに二次的な効果がありました。

それが、オリが鉄分を吸着してワイン中から除去することです。

実際に「シュール・リー」のワインを測定すると鉄分が少ないそうです。

ただしワインに残る鉄分量は、オリとともに寝かせる時間が長いものほど少なくなるので、選ぶ時は熟成期間が長いものにしてください。

今回は、「甲州」から作られた白ワインと「シュール・リー」製法の白ワインの両方をご用意しました。

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サーモンの刺身に合うワイン

サーモン

「魚には白ワイン、肉には赤ワイン」に次いで、ワインと料理のマリアージュを語るときによく出てくるセオリーが「ワインの色と料理の色を合わせる」というものです。

となりますと、サーモンにはロゼワインが合います。

もちろん、セオリーだからということだけでなく、実際に合うのです。

これは、理屈の上でも説明できます。

まず、サーモンは色から赤身の魚のように思っている方も多いのですが、実は白身の魚です。

赤く見えるのは、エサに含まれている「アスタキサンチン」という色素が身に蓄積しているからです。

ですから、マグロやカツオなどに含まれる「ミオグロビン」と違って、鉄っぽい味はしないかと思います。

となりますと、赤ワインでは刺身のほうが負けてしまいます。

その代わり、白身としては脂が多い魚種です。

ですから、白ワインだと、今度は刺身のほうが勝ってしまいます。

そこで、最も合うのは白ワインと赤ワインの中間的なロゼワインということになります。

ワインと刺身のおすすめのマリアージュ

刺身の種類合うワイン
白身シャープな酸味を持つ白ワイン
赤身渋みの少ない軽めの赤ワイン
青魚国産の白ワイン

「シュール・リー」製法の白ワイン

サーモンロゼワイン
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白ワインと刺身が合わないときの奥の手

もともと、白ワインと刺身の相性について書いていたものが、いつの間にか白ワイン以外もおすすめしてしまっていました。

ここで話を元に戻して、もし白ワインと刺身が合わなかった時はどうすればいいのかをお伝えしたいと思います。

さきほど、赤身の刺身には赤ワインを、サーモンにはロゼワインをおすすめしていますので、ここでは白身の魚と青魚の刺身に絞ってお話ししましょう。

・醤油以外で食べる

私たちには馴染みがあり、そんなにインパクトを感じなくても、白ワインに合わせるには醤油は少し味が濃いようです。

もちろん、合わせる白ワインによっては、醤油をつけて食べてもいいのですが、ワインの味わいが消されているように感じるのであれば、醤油は使わないほうがよいでしょう。

その際は塩で食べるなどしてみてください。

・柑橘類の果汁をかける

先ほども少し述べましたが、柑橘類の果汁は酸性なので生臭さを中和させる働きがあります。

これは、ワインと刺身を合わせた結果出てくる「(E,Z)-2,4-ヘプタジエナール」に対しても有効です。

ですから、レモンやすだちなどの果汁をかけて刺身を食べると、生臭さが出てこず合わせられるはずです。

・オイルをかける

オイルには匂い成分を取り込んで包み込む性質があります。

ですから、生臭さもオイルのほうに溶け込んで、揮発せず、鼻で感じにくくなるのです。

実は「魚料理には白ワイン」というのが西洋で問題なく受け入れられるのは、魚を調理するときに油を多く使用するからです。

そういう点では、生魚にオイルをかけ、ときには柑橘果汁をかけるカルパッチョという調理法は、ワインとの相性の点でも理にかなっているといえます。

・「白ワイン醤油」にする

ここまで、醤油を使わずに食べることをおすすめしましたが、とはいってもやはり刺身は醤油で食べたいと思いますよね。

そんなときにおすすめなのが、この方法です。

「白ワイン醤油」とは、白ワインと醤油を同量で合わせ、火にかけてひと煮立ちさせた後、冷ましたものです。

醤油の味わいが和らげられるうえに、酸味も加わりますので、白ワインと刺身の程よい仲介役となってくれます。

醤油の味がしなければ刺身を食べた気がしないというのであれば、試してみてください。

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まとめ

ワインと刺身の相性も、組み合わせを間違えなければいろいろと楽しめることがおわかりいただけたかと思います。

ただし、今回お伝えした内容はあくまでも一例であり、ワインも刺身も種類やその時々の状態で含まれる成分が違い、合わせてみたら想像と違ったという結果になることがあります。

それは、実際に合わせてみなければわかりません。

でもこれは、予想を上回る意外な組み合わせが見つかるかもしれないということでもあります。

この発見こそがマリアージュの楽しみでもありますので、ぜひいろいろ試してみてください

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