白ワインやスパークリングワインは冷やして飲む、赤ワインは冷やさないで飲むというイメージがある人も多いかもしれません。
では、冷やさないとは常温のことでしょうか?飲食店で提供される時も、白ワインと赤ワインでは提供される温度が違いますよね。
その時の赤ワインの温度は、“白よりは冷えていないけど、完全に常温というわけでもない”という感じではないでしょうか。日本には四季があり、また北海道から沖縄まで様々な気候の特徴をもつ地域があります。
そのため、赤ワインは冷やさないと思い込んでしまうと、季節や地域で赤ワインの温度も変わってしまいます。
今回は赤ワインがもっと楽しめる、おいしく飲める温度についてご紹介します。
推奨温度でワイン飲むべき理由
赤ワインに限らずどの種類のワインも、飲むときの温度が大切なのはなぜでしょうか。
それは一番大事な「味わい」が変わるからです。せっかく飲むなら、ベストな状態で飲みたいですよね。
適温を決める4つのポイント
適温は、ワインの香り・酸味・甘み・タンニン(渋み)のバランスで決められます。
冷やした場合、香りと甘みは弱く、酸味は引き締まって強く、タンニン(渋み)は強く感じます。
そのため白ワインは、キリっとすっきりとした酸味や程よい甘みを楽しむために冷やしたほうがおいしいのです。
スパークリングワインも同様ですね。白ワインもスパークリングワインも赤ワインと違って、製造の過程での長い発酵や樽熟成でのタンニンの抽出(=渋み)がないので、冷やしてもおいしくいただけます。
一方で、冷やさない場合は全てがその反対になります。香りと甘みは強く、酸味は感じにくく、タンニン(渋み)は穏やかに感じます。
赤ワインの場合は、タンニン(渋み)が魅力の1つであり、味わいのキーポイントになります。そしてまた人によって好みが分かれるところでもあります。
赤ワインの適温とは
日本の夏は気温30度超えの日も多いですよね。空調で室温を20度にしていても赤ワインにはまだ高いくらい。
赤は冷やさない、と思い込むのではなく周りの温度次第で冷やしたほうが最適な温度で楽しめます。
冷やし方については、この次のチャプターでご紹介します。まずは赤ワインを飲む時の適温を知りましょう。
推奨の温度はボディによって異なる
赤ワインは、フルボディ、ミディアムボディ、ライトボディの3種に分類されます。
「ボディ」とは具体的な数値などで分けられるものではなく、口に含んだ時の全体的な印象や味わいの広がり方によって生産者や販売元が決めています。
熟成の方法・ブドウ品種・産地・アルコール度数など様々な要因によります。
お店で選ぶときには味わいの説明に〇〇ボディと記載があるか、近くのソムリエさんが説明してくれると思うので参考にしてください。
フルボディは濃厚でパワフルな味わいのワインのこと。
タンニンが豊富で色も濃く果実味もしっかり感じられます。アルコール度数も高めで「重たい」と表現されることもあります。
16〜18度の比較的高めの温度で飲むと、まろやかな口当たりで果実味の広がりを楽しめます。
ミディアムボディは、重すぎず、軽すぎずでバランスが良いワインのこと。渋すぎず、ほどよく香りを楽しむことができます。
料理とのペアリングもしやすいです。推奨温度は13〜16度くらいで、冷やしすぎると渋みが強く出すぎてしまうので注意です。
ライトボディは渋みが控えめで、フレッシュな味わいのワインのこと。色も淡く、赤ワインに抵抗がある方でも飲みやすいです。10〜12度くらいで冷やして飲むとさわやかな香りを楽しめます。
ちなみに、白ワインは6〜9度、スパークリングワインは5〜8度が推奨の温度です。
赤ワインの冷やし方
いざ赤ワインを冷やそうというとき。どのように冷やすのが適切なのでしょうか。
少し知識があるだけで自宅でも適切な温度に冷やすことが出来るので参考にしてみてください。
ワインセラーで冷やす
設定した温度で常に保管できるので、自宅保管の間も品質の劣化を防ぐことが出来ます。最近では小型で家庭用のものも普及しているので、すぐ飲まないワインを持っている場合は購入を検討しても良いかもしれません。
ワインクーラーで冷やす
ワインクーラーに氷水を入れて、ボトルごと浸す方法です。
会食やパーティなら、開栓したワインはそのままワインクーラーに入れたままでも良いでしょう。
もとのワインの温度によりますが、5~10分くらいでほどよく冷えるでしょう。
冷蔵庫の野菜室で冷やす
冷蔵庫の中で一番冷えが弱いのが野菜室です。
新聞紙などにくるみ、コルクが乾かないように寝かせて保存しておき、飲む前に取り出して、1時間ほど常温で置いておくのがよいでしょう。(外気があまりにも暑い場合はもっと短くて大丈夫です。)
反対に、常温で置いていたワインを冷やしたいときは、野菜室ではなく冷蔵庫に30分程度入れておけば良いでしょう。
冷やして飲みたい!赤ワイン3選
試しにどれか冷やして飲んでみたい!と思った方もいるのでは?と思い、冷やして飲みたい赤ワインを3つ選んでみました。良かったら参考にしてくださいね。
グルナッシュ
フランスやスペインでよく栽培されているブドウ品種です。
甘みが強く、渋みがおとなしいのが特徴なので、冷やすと程よい甘みが感じられ、渋みが強くなりにくいんですね。
夏の暑い時期、アウトドアで冷やして飲むのがぴったりです。魚介など地中海料理と合わせるのもおすすめです。
リパッソ(ベイビー・アマローネ)
イタリア北部の伝統的な赤ワイン“アマローネ”の製造工程で出た搾りかすと、フレッシュな赤ワインのブレンドで作られるワインです。
アマローネは陰干しブドウから作られるので甘みが凝縮されていてアルコール度数も高めになりますが、リパッソはタンニンもソフトに、香りも華やかです。
こちらも冷やせば、程よい甘みと香りが感じられます。肉料理と合わせるのがおすすめです。
マスカット・ベリーA
せっかくなので日本のブドウ品種もご紹介したいと思います。
マスカット・ベリーAは色も淡く、すっきりとしていて渋みも穏やかなものが多いです。(製法による)そのためキリっと冷やせば、フレッシュで心地よい酸味が感じられます。
料理は焼き鳥など白身の肉や、脂ののった魚料理と合わせるのがおすすめです。
まとめ
ワインの好みには、正解も不正解もありません。
あなた自身がおいしい!これが好き!と思うことが全てだと思います。
でも、正しい温度を知らずに飲んでしまい、「美味しくなかった」と感じてしまったらもったいないですよね。
この記事を参考に赤ワインの特徴に合わせて、必要に応じて冷やすことで、もっとワインをおいしく楽しく飲んでいただけたら幸いです。
今までなんとなく赤ワインが苦手、と感じていた方も、飲む時の温度や合わせる料理次第では、好みの赤ワインが見つかるかもしれませんよ。