ワインとチョコレート、合わせたことはありますか?
感想はどうでしたでしょうか。
実は、この組み合わせは賛否両論あるのです。
「バッチリ合った!おいしかったよ。」という人がいるかと思えば、「なんだか、イマイチ。思ったほどではなかった。」という人もいるのです。
これは「どちらかの人の味覚がおかしいのだろうか」と思ってしまいそうですが、そうではないのです。
どういうこと?
実はここに「甘いワナ」があったのです。
ワインとチーズの組み合わせであれば、基本的にどのようなワインとチーズを合わせてもハズレと思ったことはないですよね。
でも、ワインとチョコレートを合わせると相性の良し悪しが出るのです。
「ワインとチョコレートの組み合わせ、サイコー!!」という人の言葉につられて試してみたら期待外れだった、ということにならないように、この二つのマリアージュについてお話させていただきます。
そうそう。
これから「マリアージュ」という言葉が何度も出てきます。
すっかり聞き馴染みでしょうが、一応ひと言添えておきますね。
マリアージュとは、元々の意味はフランス語で「結婚」です。
これが飲食のシーンでは、食べ物と飲み物の「良い組み合わせ」を表すときに使われます。
そうです。
「良い組み合わせ」です。
ですから、結婚は良いものと言う前提でこの「マリアージュ」という言葉に接してくださいね。
ワイン×チョコレートの相性は?
まず結論から言いますと、相性を合わせるのにちょっとしたコツが必要ということになります。
まず、ワインには糖度の点で、辛口から甘口まであります。
果実味のしっかりしたものから、軽めのもの。
渋さの違いや風味の多い少ない、他の要素もあり味わいの幅が相当あります。
それに対する、チョコレートも甘さの幅があり、苦みの多少、風味の程度、こちらも相当に幅が広いです。
これらがお互いに相手を選ばず、どの組み合わせでも相性がいいとは残念ながらなりません。
基本的には、これらのバランスがとれているときに良い相性となりますので、マリアージュをお考えでしたら、まずはそれぞれの特徴を見てからにしてください。
マリアージュの基本
では、どこに注目すればいいのかをお話しましょう。
今回、チョコレートに関しては、一般的なビターチョコレート、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレートに限定し、フルーツやナッツなどを含まないものを想定してお話します。
甘さのバランス
ワインとチョコレートの相性で、まず問題になることはそれぞれの甘さのバランスです。
通常この二つを楽しむとき、最初にチョコレートを食べてからワインを飲むということになると思いますので、気にかけていただきたいのは、ワインよりもチョコレートの甘さのほうが勝ってしまう場合です。
これは、ワイン同士の組み合わせのセオリーでもあるのですが、甘口のものから辛口のものへという順で飲んだ場合、後から口にしたものの甘みを感じにくく、酸味ばかりが目立ちおいしく感じません。
本来、チョコレートのフレーバーは赤ワインの香りの表現にも用いられるくらいなので、相性は良いはずなのです。
しかし、甘いチョコレートを食べた後に辛口の赤ワインを飲んだら合わなかった。
こういう場合には、甘みに負けて酸味が目立ってしまっているのです。
苦み・渋みのバランス
次に問題なのは、苦み・渋みの程度です。
先に苦み・渋みがあるものを口にしてしまうと、その余韻が残り、次に口にするものへ影響を与えてしまいます。
どういうことかと言いますと、チョコレートを食べた後はしばらくの間苦みが口に残ってしまい、次に飲んだワインにその苦みが持ち越されてしまうということです。
例えば、元々苦み成分を持っていないフレッシュタイプの白ワインに苦みが加わると、その苦みとバランスをとる成分がないので味のバランスを崩してしまいます。
風味のバランス
次は風味でしょう
より重厚な風味のものの後に軽い風味のものを口にすると、味を感じにくくやはりおいしいとは思えません。
ですから、チョコレートの香ばしさに釣り合うようなワインを合わせなければ、物足りなさを感じることになります。
重さのバランス
最後に、重さです。
チョコレートにはカカオバターが使われているので、使われる量にもよりますがそれなりの油分を感じます。
それに対して、ワインが軽いと薄っぺらに感じます。
組み合わせるときの注意点
今回のワインとチョコレートに限った話ではなく、ワインと食べ物を合わせるときには共通の注意事項があります。
まずは、それをおさらいしておきましょう。
それは「マリアージュは口の中でワインと食べ物を混ぜることではない」ことです。
多くの日本人は食事の時、まずおかずを食べて、それが口の中に残っているうちにごはんを口に入れます。
それを、ワインと食べ物を合わせるときもつい同じようにやってしまいます。
マリアージュを楽しむときは、先に口にしたものを飲み込んでから、その余韻に次のものを重ねてください。
ですからこのチョコレートの場合も、口の中を空にした後の余韻とワインとを合わせてください。
では具体的に、ワインとチョコレートのマリアージュではどこに注目すればいいのでしょうか。
甘さを合わせる
まずは、甘みのバランスです。
チョコレートはほとんどが甘いので、この甘みに負けないワインにしましょう。
ただしこれは、ワインが甘口でなければいけないというわけではありません。
例えば、アルコール自体が甘みを感じますので、アルコール度数が高いとそれだけ甘みとのバランスがとりやすいです。
また、味の濃縮感も甘みとのバランスが取れる要素なので、しっかりした味であれば辛口に分類されるものでもよいことになります。
苦み・渋みを合わせる
次に、苦み・渋みとのバランスです。
これは、渋みのあるワインであれば、ワイン自体が苦みや渋みと均衡する味わいを持っているので、チョコレートの苦みが口に残っていてもカバーができます。
逆に渋みのないワインは、苦みが加わるとバランスを崩してしまうので合わせづらいということになります。
風味を合わせる
あとは、風味のバランスも大事です。
チョコレートには、特有の土や木のニュアンスがあります。
ですから、似たような風味の樽の香りを持つワインが合わせやすいです。
重さを合わせる
最後に重さも見ておきましょう。
例えば、お肉料理を食べた後に口の中の脂っこさを流すのに赤ワインを飲みます。
同じように、チョコレートの油脂分が多いときには、それに負けないワインが相応しいでしょう。
オススメの組み合わせ
このように見てきますと、ワインとチョコレートの相性の良い組み合わせというものがわかってきます。
そのすべてはご紹介しきれませんが、普段飲むことが多いタイプのワインと、それに合うチョコレートの組み合わせをおすすめさせていただきます。
甘口赤ワイン
では、まず甘口の赤ワインからいきましょう。
って、普段飲むことが多いと言っておきながら、普段あまり飲まないタイプのワインでしたね。
すみません。
でも、なぜいきなり甘口の赤ワインなのか。
それは、チョコレートとの相性が一番いいと思うからです。
とくに、今回おすすめしたいのはポルトガルで作られるポートワインです。
普段目にする機会が少ない甘口赤ワインの中では、ポピュラーなほうなのでお試しいただくことは比較的簡単かと思います。
このワインの作り方は、ブドウ自体の甘みがまだ残っている段階でブランデーを加えます。
それにより発酵が止まるので、甘口に仕上がります。
加えたブランデーのおかげで、アルコールもしっかりしていて、厚みを感じる味わいです。
樽からくるバニラやチョコレートのような甘い香りも、マリアージュニアを良いものにさせています。
合わせるのは、ビターチョコレートかミルクチョコレート。
ポートワインに負けないリッチな味わいのものがベストです。
辛口赤ワイン
次は、辛口の赤ワインです。
やっと、手に入れやすいワインをご紹介できます。
……っと思ったのですが、実はこれも少し珍しいものをおすすめしたいのです。
どのようなものかと言いますと、陰干ししたブドウで作ったワインです。
でも、安心してください。
イタリアの「アマローネ」が有名ですが、世界各国で作られていますので比較的手に入れやすいワインです。
収穫したブドウを乾燥させ、水分を飛ばすことによって果汁を濃縮させたものが原料です。
当然、当分は発酵によりアルコールに変わりますので、作られたワインはしっかりしたフルボディになります。
香りも甘さをまとっていますので、先ほどのポートワインから甘みを抜いたような出来上がりです。
一般的なビターチョコレート、ミルクチョコレートがピッタリです。
ロゼワイン
続いては、ロゼワインと合わせてみましょう。
ロゼワインは日本ではまだまだマイナーな存在です。
お店に買いに行っても、あまり選択肢はないかとは思います。
そして、多く見かけるのはやや甘さを持ったものかと思いますので、その前提でお話します。
そういったロゼワインは見た目同様、ほのかにベリーのニュアンスを持ったチャーミングな味わいをしています。
そこに合わせたいのは、ホワイトチョコレートです。
ビター系が持つ苦みや香ばしさがないので、ロゼワインのキュートさにマッチします。
それと、ミルクチョコレートも合わせやすいと思います。
辛口白ワイン
次は白ワインです。
白ワインも辛口から甘口までありますが、よく飲まれる辛口のみ紹介します。
はっきり言いますと、チョコレートとの相性ということでは最も厳しいのが辛口白ワインでないかと思います。
その中で、合わせていくとなりますと、フレッシュなものより、樽を使い酸に落ち着きがあるしっかり目のものにしていただきたいです。
ラベルを見ただけで味を判断しづらいかと思いますが、アメリカやオーストラリア、チリといったよく「新世界」と呼ばれる国で、シャルドネという品種から作られているものにはこのタイプが多いです。
チョコレートには、甘さを控えたビターチョコをおすすめします。
スパークリングワイン
最後にご紹介するのがスパークリングワイン。
こちらも白ワイン同様、マリアージュには慎重になっていただきたいものではあります。
ワインは複雑な味わいを持ったもののほうが合わせやすいです。
シャンパンと同じ、瓶内二次発酵という作り方をしたものをおすすめします。
手に入りやすいのは、スペインで作られている「カバ」です。
お値段もお手頃で、コストパフォーマンスの高さに定評があります。
チョコレートは、これも甘さ控えめのビターチョコにしてください。
口の中に、あまり甘み、苦み、オイリーさが残らないものがよいでしょう。
ワインのタイプ | 相性の良いチョコレートのタイプ |
甘口赤ワイン | リッチなビターチョコ、リッチなミルクチョコ |
辛口赤ワイン | ビターチョコ、ミルクチョコ |
ロゼワイン | ミルクチョコ、ホワイトチョコ |
辛口白ワイン | 甘さ控えめビターチョコ |
スパークリングワイン | 甘さ控えめビターチョコ |
まとめ
今回は、ワインとチョコレート、マリアージュの甘いワナということで、うっかりそのワナに落ちてしまわないようにコツをお伝えしました。
まずは、ワインとチョコレートはお互い味の幅が広いので、相性がいい組み合わせはある程度限られますというお話でした。
それから、相性の良さは何が影響しているのかということをお伝えしましたが、ご理解いただけましたでしょうか。
次に、ここには特に気をつけてくださいね、というところを説明し、最後は迷ったときはこの組み合わせを試してください、というベストカップルを数組ご紹介しました。
ただ、ワインもチョコレートも嗜好品なので、正解というのはないものだと思います。
とりあえず、手当たり次第にやって見るのが一番でしょう。
といっても、手がかりが何もないのも大変ですから、ここでお伝えしました。
これを参考にして、ワイン×チョコレートの世界を少しでも広げてくだされば幸いでございます。